「期待」を「納得」にできるか 岸田内閣発足…編集委員 伊藤俊行

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 衆院議員の任期満了まで残り17日での首相交代という前例のない環境で、岸田文雄・新首相は初めから分岐点に立たされている。安定を取り戻すのか、猫の目のように首相が替わる時代に戻るのか。総選挙までの時間を短くした中、「漠然とした期待」を少しでも「納得」に変えられるかどうかにかかっている。

 新しいリーダーへの期待で国民の視線が優しい「ハネムーン期間」は、せいぜい半年までだろう。自民党の新総裁がこの期間に首相として国政選挙に臨んだ例は、5度ある。

 池田勇人首相の1960年衆院選、田中角栄首相の72年衆院選、小泉純一郎首相の2001年参院選の3度は、3、4人で争った総裁選の後だった。池田、小泉両首相のもとで自民党は大勝し、田中首相の時は公示前より26議席減った。

 話し合いで選ばれた宇野宗佑首相の1989年参院選、森喜朗首相の2000年衆院選では、自民党は大幅に議席を減らした。

 6度目の最も短いハネムーンで総選挙を迎える岸田首相の場合、候補者4人の総裁選後という点で池田、田中、小泉各政権と似ている。

 中でも、安倍晋三政権と同政権の官房長官だった菅義偉前首相の計9年近い施政を継ぐ構図は、約8年の佐藤栄作政権で内閣や党の要職を務め、佐藤首相の後継となった田中首相の例に近い。

 岸田首相も安倍政権で長く外相を務めた。党の政調会長も経験した。長期政権の功罪と無縁でない分、路線転換を掲げても説得力を持たせるのは容易でない。

 「首相官邸1強」の負の側面への反省は、新政権の布陣や、誠実な印象の岸田首相の態度から、ある程度は感じられるものの、長期政権の何を継承し、どこを変えるかを分かりやすく伝える工夫が大切だ。もちろん、先々の展望を語ることも求められる。

 総選挙から1年も経ずに参院選もある。新型コロナウイルスの感染状況で国民の支持は振幅する。期待が納得に変わらないと、不信は一層強く、再燃する。だからといって、改革を一夜で進めようとすれば政治は荒れる。辛抱強く取り組むには、より多くの人の理解と支持が欠かせない。

 それは、岸田首相が特技だと自任する「聞く力」を「伝える力」にすることで得られるように思う。

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