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自民、公明両党は10日、2022年度の与党税制改正大綱を決定した。企業に賃上げを促す賃上げ税制を拡充する。岸田内閣が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向け、賃上げを後押しする。期限が迫っていた住宅ローン減税は、4年間延長したうえで制度を見直す。政府は、これを反映させた税制改正案を年明けの通常国会に提出する。

自民、公明両党は10日、2022年度の与党税制改正大綱を決定した。企業に賃上げを促す賃上げ税制を拡充する。岸田内閣が掲げる「成長と分配の好循環」の実現に向け、賃上げを後押しする。期限が迫っていた住宅ローン減税は、4年間延長したうえで制度を見直す。政府は、これを反映させた税制改正案を年明けの通常国会に提出する。
自民党税制調査会の宮沢洋一会長は10日の記者会見で「成長から分配への第一歩を税制で支援する体制ができた」と強調した。
賃上げ税制は、賃上げをした企業ほど受けられる優遇をより大きくする。3段階の条件を設け、控除率の上限を引き上げる。従業員の賃金を増やした分のうち中小企業は最大40%、大企業は最大30%を法人税から差し引ける。
ただ、国内企業は6割以上が赤字決算で法人税を納めておらず、恩恵を受けられない。政府は賃上げした中小企業を対象に、補助金での対応も検討している。
住宅ローン減税は、所得税や住民税から差し引ける金額を年末時点のローン残高の1%から0・7%に縮小する。減税が受けられる期間を新築は13年間に延ばす。
減税額の基準となる借入残高の上限は、省エネ性能が高い住宅を優遇する。
コロナ禍を受け、1年限定で導入した固定資産税の特例措置は、住宅地は予定通りに今年度で終了する。商業地は22年度に限り、地価が大きく上昇した場合の負担増を従来の半分に抑える。中小企業や宿泊業界の回復が遅れていることに配慮した。
減税の規模は、賃上げ税制は年1000億円台後半に、固定資産税は450億円程度になる。住宅ローン減税は控除率は縮小となるが、国土交通省の試算によると中間層では減税総額が増えるケースもあり、全体の減税規模は従来とほぼ同じになるという。
一方、株式の売却益などへの金融所得課税の強化については、市場への影響を考慮し、結論を持ち越した。二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税する「炭素税」の本格導入も見送った。自動車関連の税制は、燃費が良い車の税金を安くする「エコカー減税」が23年4月末に終了するのに合わせて、抜本的に見直す方針を示した。