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1990年8月の湾岸危機を巡り、当時の米国のジョージ・ブッシュ(父)大統領が海部俊樹首相との日米首脳会談で、自衛隊派遣を事実上要求していたことが、22日に外務省が公開した外交文書で明らかになった。翌91年1月に米国中心の多国籍軍がイラク攻撃に踏み切る直前、国際社会から日本が前例のない対応を迫られていたことが分かる。

海部氏は90年9月29日、ニューヨークで日米首脳会談に臨んだ。「極秘」と記された同年9月30日の外務省の公電によると、ブッシュ氏は会談で「日本の憲法上の制約は十分理解している」としながらも、「日本が軍隊(FORCES)を中東における国際的努力に参加せしめる方途を検討中と承知するが、そのような対応が有益だと申し上げておきたい」と発言した。

これに対し海部氏は、当時、政府内で検討していた「国連平和協力隊」創設の構想に触れ、「協力隊に日本全国から隊員を募集し、資金のみならず共に汗を流す協力を実現したい」と応じた。一方で「日本人は武力の使用または武力紛争への関与は行わない旨決意している。現時点では非戦闘、非軍事のあらゆる協力を実現する方向で努力しているという以上には説明し得ない」と述べ、自衛隊派遣に慎重な考えをにじませた。
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