平尾さんと遂げた復活 神鋼ラグビーV

 ラグビーの日本選手権を兼ねるトップリーグ(TL)決勝トーナメントの決勝が15日、東京都港区の秩父宮ラグビー場で行われ、神戸製鋼が55―5でサントリーを下して頂点に立った。「ミスター・ラグビー」と呼ばれた平尾誠二さんを中心に1989年1月の「平成最初」の日本選手権で初優勝した関西の名門が、2年前に他界した平尾さんの遺志を継ぎ、「平成最後」の大会で復活を遂げた。

平尾さんの遺影を手に優勝を喜ぶ前川鐘平・共同主将(中央)ら神戸製鋼の選手たち(15日、秩父宮ラグビー場で)=伊藤紘二撮影

 開始3分で先制トライを決め、2連覇中の強敵を8トライで圧倒した。日本選手権を18季ぶり、TLを15季ぶりに制し、かつての神戸製鋼を思わせる強さに、チームディレクターの福本正幸さん(51)は「勝てなかった時代、平尾さんのこと……。色々思い出した」と目頭を熱くした。
 創部90年となる神戸製鋼が黄金期を迎えたのは、平尾さんが中心選手だった80年代後半から。89年1月、全国社会人大会決勝と日本選手権を制覇し、史上最多タイの7連覇も達成した。しかし、2003年度のTL初代王者となった後は無冠。引退後にゼネラルマネジャー(GM)や総監督として強化に奔走した平尾さんは、再び頂点に立てぬまま16年10月、胆管細胞がんのため53歳の若さで逝った。

神戸の誇り「まだGMでいるような感じ」

神戸製鋼の強化に尽くした平尾誠二さん(2007年11月撮影)

17年5月、強化を担うチームディレクターに就任したのが、7連覇時代にプロップで活躍した福本さんだった。「平尾さんのようにラグビーは教えられない。自分にできるのは、いい指導者を招き、環境を整えることだけ」。再建のキーマンとして、ニュージーランド(NZ)代表アシスタントコーチだったウェイン・スミス氏(61)を総監督に招聘。現役時代の平尾さんの革新的なプレーを覚えていたスミス氏が「自分が力になれることがあるなら、手伝わせてくれ」と快諾した。元NZ代表で世界屈指のSOダン・カーター選手(36)の獲得にも成功した。

スミス氏は神戸製鋼の選手として戦うプライドを育むため、今春、阪神大震災の「復興のシンボル」と言われた高炉を見学、当時の従業員らの思いを聞く機会も設けた。平尾さんがチームに植え付けた「ラグビーを楽しむ」という理念と自主性を強調した。

選手らは平尾さんの遺影を持って表彰式に臨んだ。福本さんは「まだ平尾さんがGMにいて、僕が補佐しているような感じだった。みんなが頑張ってくれたおかげ。これを継続したい」と感慨に浸った。

チームディレクターの福本正幸さん(15日、秩父宮ラグビー場で)

写真特集ラグビー日本選手権 神戸製鋼 18季ぶりV

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