古豪復活 いざ花園 全国高校ラグビー27日開幕

ラグビーの第98回全国高校大会は27日、大阪・花園ラグビー場で開幕する。1918年に前身大会の第1回が行われてから100年が過ぎた。戦後初めて全国の舞台を踏む古豪、低迷期を乗り越えて復活した伝統校など、今大会の注目校を紹介する。

早稲田実(東京第1)

早大の後藤・元監督(中央奥)の指導を受け、練習に励む早実の選手たち

早大OB指導で79大会ぶり

79大会ぶりに全国切符をつかんだ。早大と同じえんじと黒のジャージーが象徴するように、躍進の背景には大学との連携強化がある。伝統的にOBが指揮を執るが、早大でコーチ経験を持つ大谷寛監督は会社員で、全ての練習には顔を出せない。早大OBらで運営する特定非営利活動法人「ワセダクラブ」にコーチを委託し、練習の質を高めてきた。

12月下旬には早大の後藤禎和元監督が練習を指導。FB小泉怜史(3年)は「いろいろなコーチからアドバイスをもらえてうれしい。後藤さんは(将来的に)大学でプレーするときに必要なことを言ってくれていると解釈している」と話す。

第11回大会で準優勝した古豪だが、戦争の影響から1939年に休部。61年に活動を再開した後も、強化に向けた体制は整っていなかった。大谷監督が2014年に就任した頃から、大学に有望選手を集めるため、系列高校を強化する動きが始まった。大学が契約するコンディショニングの専門家が体調や栄養面の管理をするようになった。

「強いところを倒して花園に行くのが面白いと思った」と語る小泉のように意欲の高い選手が集まり、東京都予選は過去2年連続で準優勝と着実に成長を遂げた。

強豪に体格面では劣るため、相手より早く球に反応することにこだわって練習を重ねる。早大の相良南海夫(なみお)監督を父に持つ主将のナンバー8相良昌彦(3年)は「まずは正月を花園で過ごすことが目標」。古豪復活へ、士気は高い。(帯津智昭)

大津緑洋(山口)

タックル練習に励む大津緑洋の選手たち

防御に磨き「らしさ見せる」

主力に大柄な選手はいない。体格やパワー不足を補うためにボールを速く動かすスタイルを身につけたが、得意の展開力を発揮するためにも防御での踏ん張りが不可欠。主将のSH末次遥人(3年)は「原点回帰しようと(防御を)みんなで磨いてきた」と力を込める。

学校がある山口県北部の長門市は、ラグビーが盛んな土地だ。3校の統合で現在の校名になったが、統合前の山口水産と大津は全国の常連。特に大津は1983年度大会で4強入りし、旋風を巻き起こした。その強さを支えたのが、地をはうような動きの強烈なタックルだった。

大津OBの父から昔の映像を見せられたWTB末永竜也(3年)は、大きな相手の足元に頭から突っ込む勇猛果敢なプレーが目に焼き付いて離れなかったという。「体が小さい欠点を強みに変えるためにも、僕らに合っている」。先輩たちの戦いぶりを仲間に伝え、伝統継承を目指してきた。

長門市は来年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会でカナダ代表の公認キャンプ地に決まり、昨秋には女子7人制のクラブチーム「ながとブルーエンジェルス」も発足した。地元の期待を背負う中野泰幸監督(56)は、「花園から勝利を届けることが一番」と話す。大型FWを擁する新潟工(新潟)とぶつかる初戦へ向け、「大津らしさを見せる」とプロップの栢康太(3年)。5大会ぶり29度目の舞台で、魂を込めたタックルを披露するつもりだ。(財津翔)

新田(愛媛)

10大会ぶりの花園に向けて調整する新田の選手たち

廃部危機越え 伸び伸び

照明がともったグラウンドで汗を流す選手らを、亀岡政幸監督はじっと見守っていた。指示は最小限しか出さない。「指導者の固定観念でチーム作りをすると、そこまでのプレーしか出来ない。選手が選択肢を持てるようにしている」。自主性を重んじるスタイルで10大会ぶり45度目となる花園への道を切り開いた。

山本巌や向井昭吾という元日本代表監督を輩出し、4強に2度入った四国を代表する名門。近年は県内で苦戦が続き、1997年度から9年連続で花園出場に導いた亀岡監督が2006年度途中で退任すると、部は存亡の危機すら味わった。

14年4月、亀岡監督が復帰した当初の部員は12人だけ。旧知の指導者らからは「1度死んだチームが元に戻るには、最低10年はかかる」と言われた。だが、指揮官は「5年で元に戻す」と思い描いた。復活に向けて部の再建に取り組み、根気強く選手と向き合った。

選手への押しつけを嫌い、ミーティングも主将にポイントを伝え、自らは参加しない。自主性を身につけたチームの復活は早く、昨年度は9大会ぶりに全国大会の県予選決勝に進出。粘り強いFWと展開力のあるBKで今年度は県内では敵なしで、花園出場も果たした。

「選手が新しい歴史と伝統を作っていくんです」と亀岡監督。2年生で主将を務めるSO戒田慶都(けいと)は「何大会ぶりとか意識せず、伸び伸びプレーしたい」と意気込む。空白の期間を経た名門が、新たな一歩を踏み出す。(南恭士)

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