漫画で魅力展開ニャ そにしけんじさん…ラグビーW杯あと199日

「猫ピッチャー」作者のそにしけんじさんは「W杯盛り上げに貢献したい」と語る=川口正峰撮影

経験生かし ルール解説

本紙日曜版で連載中の漫画「猫ピッチャー」の作者、そにしけんじさん(50)は高校、大学時代にラグビーに明け暮れた。最新作「ラガーにゃん」に込めた思いなどを聞いた。開幕まで200日を切ったワールドカップ(W杯)日本大会でジョージアの事前キャンプ地となる徳島県の取り組みも紹介する。

――ラグビーを始めたきっかけは。

「生まれは札幌で、関西で育った。中学では野球をしていたが、京都の同志社大の付属高に入学した直後、監督から『お前はラグビー』と言われて。足が速い生徒を集めていたようだ。1年ではウィングで、ボールをもらったら走ればいい、と。2年か3年の時、同志社大のOB戦と思うが、(当時神戸製鋼の)平尾(誠二)さん、大八木(淳史)さんを間近で見た。スーパースターで目立っていた」

――ラグビーの魅力は。

「相手にぶつかっていい競技はあまりない。テンションを目いっぱい上げておかないと、タックルにいけない。ハイパントを上げて、相手がボールをとった瞬間にタックルするのが得意技。ステップで相手をかわすのも好きだった」

――漫画家が夢だった。

「中学生の時、漫画通信講座のようなものを1年間受けた。大学では漫画を描いて投稿し、3年生の時に賞を取った。会社には内緒のまま月刊誌で7年くらい連載していた」

――猫など動物が出てくる作品が多い。

「動物は小さい頃から好きで、猫はずっと飼っていた。よく引っかかれていて、あまり、なつかなかったけど。大学でも、拾ってきた猫を寮で飼っていた」

――猫がルールや技術を学ぶ「ラガーにゃん」は、ラグビーの入門書のようだ。

「(連載しているのが週刊誌の)『女性自身』なので、読者は女性。ルールを知らないことを前提に、どうやって興味を持ってもらうかを考え、猫にラグビーをちょっとずつ教えていく形にした。同じような感じで読者がわかるようになればいいと思った。最初は全くラグビーができない状態の猫が、読み続けると、試合をやっている。W杯をテレビで見る時、漫画を読んできた奥さんが『今のはノックオンね』『あそこはオフサイドよ』とか言って、旦那さんよりルールがわかっている、というのが理想」

――「ラガーにゃん」でのこだわりは。

「猫に名前をつけていない。ラグビーは団体競技。15匹で一つのチームになるように、個性をほぼつけないようにした。とにかく猫をいっぱい描かないといけないので、FWがスクラムを組むと大変」

――ラグビーをテーマにした漫画を描きたかったか。

「ラグビーがもうちょっと広まらないかなとずっと思っていた。大学時代の仲間からも、『ラグビーの漫画で盛り上げて』と言われていた。(出版社からの依頼が)新作でオリジナルという条件だったので、『猫ラグビー』を描きたいとお願いした。ラグビー漫画を描いて、(W杯に)貢献できるのは、ここを逃すとなかなかないと思った」

――W杯への期待を。

「前回W杯では、片手で球を持って走れるようなサモアに圧勝し、なんて強くなったんだろうと感動した。展開も速く、競技としても面白くなっているので、すごく楽しみ。ルールが分かるとかなり面白いし、日本は前回W杯の時よりさらに一段階強くなっている気がするので、多くの人が楽しめたらいい」(聞き手・帯津智昭)

そにし・けんじ 1969年2月生まれ。北海道出身。筑波大在学中に「週刊少年サンデー」(小学館)の漫画賞受賞。大日本印刷勤務を経て、漫画家に。「猫ピッチャー」(中央公論新社)、「ラガーにゃん」(光文社)のほか、「ねこねこ日本史」(実業之日本社)など、猫が登場する作品が多い。

[ようこそW杯]@徳島県…「お接待の心」でサポート

全国的な強豪の高校や大学はなく、トップリーグのチームも持たない。ラグビー界での存在感はそれほど強くない徳島県で、世界屈指のスクラムの強さを誇るジョージアがW杯開幕直前、9日間の事前キャンプを張る。

キャンプ誘致の一つのきっかけは、2002年サッカーW杯日韓大会だった。当時、兵庫・淡路島がイングランド代表のキャンプ地となり、デービッド・ベッカムの人気で大いに盛り上がった。その様子を対岸から見て、地方の活性につながると実感した。

ラグビーW杯の日本開催が決まると、県協会は同県出身で1987年の第1回W杯で日本代表主将を務めた林敏之氏(59)に相談し、林氏の人脈を頼ってジョージアと接触。「日本の標準的な気候のキャンプ地を探している」という情報を聞き、2016年11月には県職員が現地を訪れ、徳島の温暖な土地柄や練習施設などを紹介した。

17年5月に来県した代表監督から、練習場となる鳴門・大塚スポーツパーク球技場の芝の改修を要望されると、県は約4億円をかけて張り替えた。宿泊施設となるホテルも、体格が大きい選手に合わせてベッドを調整することができることなどをアピールし、招致にこぎつけた。県国際スポーツ大会室の秋山孝人室長は「一流選手が四国へ来ることは少ない。国際感覚を醸成してもらう機会にしたい」と話す。

徳島県では、四国八十八か所霊場を巡る「お遍路さん」に、食事や飲み物を差し入れる「お接待」の文化が根付く。林氏は「おもてなしの精神を生かしてよりよい事前キャンプ地になれば」と願う。(中安真人)

[なるほど! ラグビー]倒れ込んで妨害 反則

タックルが成立した後のボール争奪戦で、ボールの上やボールを乗り越えて相手側に倒れ込んでプレーを妨げた場合、「オーバーザトップ」の反則となる。立ってプレーするというラグビーの原則に基づいたもので、妨害された側にペナルティーキックが与えられる。

攻撃側がタックルを受けた後、サポートした味方が早く球を出そうと焦って密集に飛び込んだ時に起こりやすいほか、防御側が無理な体勢でボールを奪いにいったり、相手の球出しを遅らせようとして飛び込んだりする場合に発生しやすい。

オーバーザトップにならないためには、密集の中でも、自分の力でしっかり立ってプレーする意識を持ちながらプレーする必要がある。日本代表のプロップ浅原(東芝)は「正しいポジショニングを取ることができれば、(ボール争奪戦に)焦って入らなければいけない状況にはならないので、練習からそう心がけている」と話す。

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