[ジョセフ流]<下>キックで崩し 鋭く奪取

選手を指導するジョセフHC

ラグビー日本代表候補は20日まで沖縄県内で合宿を張った。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、その日の練習メニューを選手へ事前に伝え、何を意識してトレーニングに臨むべきか選手間で話し合うよう求めた。

「選手は自発的にチームを引っ張っていく方がより深く学べる。深層心理の中で自信にもつながる」。ハイランダーズ(ニュージーランド)を率いて南半球最高峰のスーパーラグビーも制した指揮官は、経験を通して作り上げられた自らの哲学を、こう説明する。

2015年ワールドカップ(W杯)イングランド大会で日本に3勝をもたらしたジョーンズ前HC(現イングランド監督)は、長期合宿で厳しい練習を課し、選手一人ひとりの役割を徹底的にたたき込んだ。ジョセフHCの練習もハードだが、前回W杯の主力だったCTB立川(クボタ)は「15年の時は、高い強度の練習を与えられて消化していく形。今は選手からの意見をコーチ陣が受け止め、リーダーたちが話し合い、他の選手に落とし込んでいる」と違いを説明する。

「カオス戦術」W杯8強へ

ジョセフHCの基本戦術では、キックを多用して敵陣へボールを蹴りこむ。体格で劣る日本が強豪の組織防御を正攻法で崩すのは難しいから、相手の陣形を崩してから、鋭い出足で圧力をかけ続けて球を奪い返すのが狙いだ。手数をかけずに攻める戦い方は、ボールを保持して攻撃を続けた15年W杯とは対照的だ。

「カオス(混沌(こんとん))を作る」と表現するキック戦術は、豊富な運動量と瞬発力、それらを80分間保ち続ける持久力が求められる。選手選考では体力テストの数値を重視し、2月上旬から始まった代表候補合宿では、体力強化に時間を割いた。

強豪と日本の差として、精神力を挙げる。「チャンスは相手から与えられるものではなく、つかみ取らないといけない。不屈の精神力が必要」と説く。試合ごとに好不調の波が大きいことを念頭に、どの相手にも常に自分たちの力を発揮する「一貫性が欠かせない」と、選手に訴える。

「W杯でピークを迎えるためのプランがある。あとは積み上げていくだけ」。指揮官の頭の中には、悲願のW杯8強入りへ向けた道筋がしっかりと描かれている。(この連載は矢萩雅人、帯津智昭、中安真人、財津翔が担当しました)

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