イングランド<中>文化映す多国籍チーム

ロンドンの公園で練習するロンドン・ジャパニーズのメンバーら=岡田浩幸撮影

土曜日の昼下がり、ロンドン中心部の公園「リージェンツパーク」では、あちこちにラグビーを楽しむグループの姿があった。結成40周年を迎えたラグビークラブ「ロンドン・ジャパニーズ」(ロンジャパ)もその一つだ。メンバーの職業は様々で、元プロ選手も初心者も懸命に走り、トライに歓声を上げた。

元日本代表の水谷真氏、宿沢広朗氏らがロンドン駐在時に創設したクラブは今、約80人のメンバーの半数が外国人だ。主将の池上真介さん(35)は早大で活躍し、トップリーグのリコーでプレー。引退後の2015年に同社の営業担当としてロンドン赴任が決まり、「本場でラグビーがしたい」と、プレーを再開した。

国際統括団体ワールドラグビーの統計(2017年)によると、イングランドの競技人口は約36万人と、日本の約11万人の3倍以上に上る。「母国」ではプレミアリーグを頂点として全国各地でリーグ戦が組織されている。ロンジャパはリーグに属していないが、毎年9月~翌年4月のシーズンに10試合前後を組んでいる。対戦相手はすぐ見つかるという。

敵味方 仲良くビールも

様々な人たちが共生するロンドンで、ロンジャパの外国人メンバーの国籍も英国のみならず、フランス、南アフリカ、韓国、豪州、アルゼンチンと多彩だ。「このチームはロンドン、そしてイングランドの縮図だと思う」と池上さん。富裕層の白人が中心だったイングランド代表でも様々なルーツを持つ選手が増えており、ラグビー協会のスティーブ・グレインジャー振興部長は「我々は平等、多様性を尊重している」と語る。

一方、変わらないのは、パブでビールを飲みながら交流する光景だ。リージェンツパークでプレーを楽しんだ人々の足は、自然と近くのパブへ向かう。ほとんどのラグビー場にもクラブハウスやパブが併設され、試合後は両軍が一緒にビールを飲み、親睦を深める。ロンジャパのホームゲームでは、プレミアリーグの強豪ワスプスが所有する施設を借りる。トップクラブも市民との距離が近く、池上さんは「ラグビー文化の深さを感じる」と言う。

代表戦やプレミアリーグ各クラブなどのファンも、試合の前後にパブでビールを飲む。サッカーでは一部サポーターが暴徒化するフーリガンが社会問題化したこともあるが、ラグビーでは両チームのファンが肩を組み、ともにグラスを傾ける。プレミアリーグ、ブリストルのトム・テイントン広報は「試合が終われば敵も味方も一緒に飲むのがラグビーの文化だ」と説明する。日常生活にラグビーが溶け込んでおり、そこでの出会いが人生を豊かにする。

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