スコットランド<中>才能発掘 世界中から


スコットランド協会のマッケイ最高執行責任者(エディンバラで)=帯津智昭撮影

スコットランド協会のマッケイ最高執行責任者(エディンバラで)=帯津智昭撮影

手のひらに収まる青い表紙の冊子に、スコットランドの目指すラグビーが詰まっている。タイトルは「ザ・スコティッシュ・ウェー」。スコットランドラグビー協会が2016年にまとめたものだ。

協会のドミニク・マッケイ最高執行責任者(COO)は「私たちが目指すスタイルは、オープンで速く、機敏で、エネルギッシュなラグビー。選手、コーチ陣が冊子を利用し、この内容に従って育成をしている」と説明する。

表紙を含め全20ページで、「基本原則」、「攻撃」、「ブレイクダウン」(タックル後のボール争奪戦)、「防御」、「セットプレー」の5項目に分かれている。例えば、攻撃では3段階の考え方を示しており、基礎レベルではキックを使わずにボールを保持して攻める。マッケイCOOは「キックを使わないことが、パスの技術を向上させると考えている」と話す。

目指す戦い 一冊に


スコットランド協会が目指す方向性をまとめた「ザ・スコティッシュ・ウェー」

スコットランド協会が目指す方向性をまとめた「ザ・スコティッシュ・ウェー」

協会がリーダーシップを発揮して育成に力を注ぐ一方で、代表チームは、世界で最も外国出身選手が多いと言われる。

「スコットランド46.3%、日本37.1%、イタリア29.7%、豪州29.4%」――。代表チームに占める外国出身選手の割合だとして、国際統括団体ワールドラグビーのアグスティン・ピチョット副会長が昨年11月にツイッターに投稿した。

ラグビーでは、五輪やサッカーなどと異なり、国籍がなくても代表選手になることが可能だ。3年間(20年年末から5年に延長)続けて居住した外国出身選手は、他の代表に選ばれたことがなければ、その国・地域の代表資格を取得できる。スコットランドはこの規定をフル活用。15年の前回ワールドカップ(W杯)では、南アフリカ出身FWジョシュ・ストラウスらが直前に代表資格を得て、グループリーグ初戦の日本戦で勝利に貢献した。

人口約540万人のスコットランドが世界と戦っていくために、協会が考えた方法だった。マッケイCOOは「我々は小さな『国』だ。国内でラグビーをする大人の選手は約2万人。そこから才能を発掘することはなかなか難しい。スコットランドに限らず、外国で生まれた選手も育成していこうと考えており、南アフリカ、豪州、米国など、世界中にスカウト網を大きく広げている」と明かす。

協会は「エディンバラ」と「グラスゴー・ウォーリアーズ」という二つのプロクラブを運営しており、海外の有望選手を所属させて鍛える。「もちろん、日本にもスカウトがいる。2人の選手と契約したいと考えているが、なかなか難しい。この『国』は魅力的だと思うのだが」とマッケイCOO。チームを強化するための様々な知恵が、スコットランドにはある。

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