ジョージア~格闘技大国 力で勝負

ジョージアについて語る元小結黒海のツァグリアさん(トビリシで)=岡田浩幸撮影

ジョージアについて語る元小結黒海のツァグリアさん(トビリシで)=岡田浩幸撮影

身長1メートル90、体重約150キロの体は、大柄なジョージアの男性の中でも目を引く。「人々は毎日ワインを飲み、肉もヨーグルトもよく食べる。北部に5000メートル級のコーカサス山脈が連なる『山の民』は、体が大きいから」。首都トビリシで自動車関連会社などを経営する大相撲の元小結、黒海ことレバン・ツァグリアさん(38)は豪快に笑った。

人口約390万人のジョージアは、その屈強な身体を生かした「格闘技大国」だ。レスリングは五輪でメダルを獲得し、柔道の強豪国でもある。レスリングや柔道に似た同国発祥の古式武術「チダオバ」は昨年、ユネスコの無形文化遺産に登録された。ツァグリアさんは「力でぶつかる競技が好きな国民性」と分析する。

そんな国で近年、ラグビー熱が高まっている。ソ連時代に多くの代表選手を輩出したが、1990年代は独立に伴う混乱でスポーツ界全体が停滞した。ワールドカップ(W杯)初出場は2003年。それ以降は連続出場し、前回大会は2勝を挙げた。スクラムは「世界最強クラス」と言われ、現在の世界ランキングは日本に次ぐ12位につける。

ロシアに一泡 高まる人気

ロシアを下して欧州選手権を制したジョージア代表の選手ら(3月17日、ロシア・クラスノダールで)

人気の背景には、好みの「力勝負」に加えて、ロシアへの対抗意識がある。洋の東西を結ぶ要衝である国土は、古代から多くの民族が暮らし、幾度も侵略や占領が繰り返されてきた。特に北で国境を接するロシアとは、08年に南オセチアの統治を巡って軍事衝突が起きるなど対立が根深い。

ジョージアラグビー協会のゴチャ・スバニゼ会長は「独立後間もない1993年に敗れて以降、ロシアには一度も負けてない」と胸を張る。今年3月の欧州選手権でもスクラムで圧倒し、22―6で快勝した。経済、軍事の大国に一泡吹かせられるラグビーは、国民にとって痛快な娯楽となっている。

国内のプレー環境は発展途上だ。レスリングは学校の授業に取り入れられ、各地の有望な子どもたちをスカウトし、全寮制で英才教育を施す。一方、ラグビーの授業はなく、同協会は3年前からトビリシ市内の学校にコーチを派遣し、普及活動に取り組む。スバニゼ会長は「全寮制のアカデミー制度も1、2年以内に導入したい」と意気込む。

トビリシでは2月、天然芝のピッチや照明設備、スタンドを備えたラグビー専用グラウンドが完成した。以前は土ぼこりが舞うグラウンドで練習をしていた地元クラブ「アカデミア」のサンドラ・プロバキゾ君(11)は「練習して、将来は海外でプレーし、代表で活躍したい」と目を輝かせる。

独立から28年。ジョージアは欧州連合(EU)加盟を目標に、経済発展を目指す。成長を続けるラグビーは、過去を乗り越え、未来を開こうとする国の意志と誇りの象徴でもある。(岡田浩幸、写真も)

<<
ニュース一覧へ戻る
>>