男の原点 強さと品格、綱と通じる…内館牧子さん

脚本家の内館牧子さん(70)は高校生の時にラグビーのファンとなり、大学時代にはラグビー部のマネジャーを務めた。女性初の横綱審議委員として活動した経験を踏まえ、ラグビーと大相撲との共通点などを語る。

内館牧子さん=岩佐譲撮影

――ラグビーは昔から好きだった。

「小さい頃から相撲やボクシングなど男の肉弾戦が好きだった。高校生だった1960年代、ラガーマンが主人公のテレビドラマがあり、ラグビーに無条件の憧れがあった。幼稚園の頃はいじめられていて、いつも助けてくれたのが力道山にそっくりな子。『体が大きな男は優しい』とすり込まれたのも、ラグビーが好きになった理由の一つだったと思う」

――武蔵野美大でラグビー部のマネジャー。

「高校生の時は早明戦などを見に行った。早稲田のオープン攻撃は美しいし、明治の重いFWにうっとりした。大学ではマネジャーをやろうと、合格する前から思っていた。女子マネの走りだった。そんな人は当時はいなかったので迷惑そうだったが。隣の朝鮮大学校に1人で練習試合を申し込みに行ったり、形から入る方なので(長野県の)菅平で合宿をしなくちゃと思ったり。菅平に行った時は、『ついに聖地に来たぞ』みたいに思った」

――当時の思い出は。

「『魔法のやかん』で(選手の)けがでも何でも治してしまうわけ。あちこちがへこんでいるやかんに水を水道からいっぱい入れて。レモンくらいは浮かべたかな。何かあれば、やかんを持って走った。部員は4学年で20人くらい。部室には『楽苦備』と書かれていた。楽も苦も備えているという意味で、いい言葉だと思った。洗濯も掃除もした。ラグビー部員なんだという感じがうれしかった。青春だね」

――大相撲との共通点は。

「何も持たないで、自分の体と、技術を含めて自分の頭を武器にして戦うところが似ている。ラガーマンも力士も礼儀正しい。横綱もラグビーも品格が大事で、勝たないと困るが、ただ勝てばいいのではない」

――小説「終わった人」は、映画では主人公が元ラグビー選手という設定。

「(原作では)野球が出てくるが、(主演の)舘(ひろし)さんが元ラグビー部なので、(中田秀夫)監督がラグビーにする、と。ラグビーなら全く構わないと思った」

――前回W杯の南アフリカ戦は。

「家でテレビで見ていた。横綱に正面から堂々と四つ相撲で勝ったようなもの。衝撃的な大事件だった。フィーバーになり、『ルールを教えて』という電話がたくさんかかってきた。今回は開催国で、プレッシャーを背負って戦うのはすごく大変だと思うが、やっぱり(活躍を)期待してしまう」

――W杯で初めてラグビーを見る人も多い。

「競技の人気を考えたら、女子の気持ちをつかみたい。一般的に、男の人がきれいになり、髪の毛を気にしたり、香水をつけたりしている。その一方で、ラグビー選手は、男の原点みたいな気がする。まず最初は、鍛え上げた男たちの体を見てみて。あの体で機敏に動く。ボールを持って走らせたら、陸上選手とは違うすごさがある。誰か1人をマークして、ずっと見るのもいいかも。だんだん顔も分かってくる。田村(優、キヤノン)とか姫野(和樹、トヨタ自動車)とか、いい選手がいっぱいいる。ルールを覚えるのは、その後でいい」(聞き手・帯津智昭)

うちだて・まきこ1948年9月生まれ。秋田市出身。武蔵野美大卒業後、三菱重工勤務を経て、1988年に脚本家デビュー。「ひらり」「毛利元就」「私の青空」など多くのテレビドラマを手がける。2000~10年に女性初の横綱審議委員を務める。その間に東北大大学院で宗教学を学び、修士号取得。2005年に東北大相撲部監督となり、現在は総監督。

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