ニュージーランド<下>裾野支える クラブチーム

西日を受けながら、練習に励むフレーザーテックの選手たち(3月5日、NZハミルトンで)

日が傾き始めた午後5時過ぎ、ニュージーランド(NZ)北部の都市ハミルトンにあるグラウンドに少しずつ人が集まってくる。地元のクラブチーム「フレーザーテック」の面々だ。

走り込みの後、攻撃の連係やラインアウトの練習に取り組んだ。火、木曜の夕方に1時間半ほど練習し、土曜に試合というのが3~7月のシーズン中の流れだ。18歳から35歳くらいまでの社会人や大学生ら約40人が所属。今季加入した元NZ代表オールブラックスのWTBザック・ギルフォード(30)のようなトップレベルから、プロを目指す選手、余暇で楽しむ人まで競技レベルは様々だ。力量によってチームが分けられ、それぞれのレベルで試合が組まれている。

地元の高校を卒業して加入したバリンス・テファレ(18)は、WTBとして将来を有望視されている。「経験ある選手とプレーできるので、自分の経験値も上がる。武器はスピード。オールブラックスを目指したい」と夢見る。

NZラグビー界は、世界ランキング1位に君臨するオールブラックスを頂点とし、その下にスーパーラグビーの各チーム、国内26地区の代表などがあり、裾野を多くの町のクラブが支えている。フレーザーテックのあるワイカト地区だけで31クラブが活動する。「どんな選手もここからスタートしていく」。フレーザーテックのベテランで、トップリーグの豊田自動織機でプレー経験のあるペニアシ・イオワネ(32)は語る。

日本の若手も武者修行

最近では、NZのクラブチームで腕を磨く日本の若者も増えている。フレーザーテックで唯一の日本人だったのが、東京都出身の吉川(きっかわ)遼さん(23)だ。強豪の国学院久我山高を卒業後、社会人でプレーした父親の勧めもあって留学を決めた。語学学校に1年間通った後、ハミルトンの国立ワイカト大学で経営学を学び、昨年12月に卒業した。フレーザーテックではWTB、FBとして活躍。ワイカトの7人制代表候補にもなった。「日本で経験できないことにたくさんチャレンジできた」と充実した日々を振り返る。

吉川さんが通訳として関わったスーパーラグビーのチーフスと提携関係にあるトップリーグの神戸製鋼からは、若手5人が今年2月から約2か月、NZで武者修行をした。1月の全国大学選手権で明大の日本一に貢献し、神鋼入りしたフランカー井上遼(22)は「こっちに来て、ラグビーに対する考え方が変わった。みんなラグビーを心から楽しんでいる。スポーツの根本は楽しむことだと再確認できた」と刺激を受けた。

人々の生活に溶け込んでいるNZのラグビーは、日本の若者の心もつかんでいる。(ニュージーランド編は、帯津智昭が担当しました)

吉川さん(右)とテファレ

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