オーストラリア<中>地域クラブ 生活根ざす

水曜日の夕方、シドニー市北部のグラウンドで、子どもたちが笑顔で楕円(だえん)球を追いかけていた。

このグラウンドを拠点とする「チャッツウッド・ジュニア・ラグビークラブ」には、5~17歳の約400人が所属する。約190人のボランティアが活動をサポートし、地元強豪クラブの選手も指導にあたる。コーチのニック・ホワイトさん(45)は「子どもがするスポーツで最も人気があるのはサッカーだが、この地域はユニオン(15人制ラグビー)も盛ん。ここで仲間を作り、ラグビーのスキルを学ぶことができる」と話す。

練習に励むチャッツウッド・ジュニア・ラグビークラブの子どもたち

豪州初のラグビークラブ「シドニー大学クラブ」が設立されたのは1863年だ。チームが増え、その11年後には競技団体が結成された。ラグビーの「母国」イングランドで71年に協会が発足してからわずか3年後のことだ。

シドニー大学クラブは、豪州代表やスーパーラグビー(SR)でプレーする選手も名を連ねるトップチームがニューサウスウェールズ(NSW)州の最上位リーグに所属。クラブには4軍まであり、それぞれのレベルに応じたリーグで試合を行っている。20歳以下や女子のチームも持つ。

トップリーグのNTTコミュニケーションズなどでプレーし、豪州のクラブに所属した経験のあるプロのキックコーチ、君島良夫さん(35)は説明する。「トップ選手から趣味で楽しむ人まで同じクラブにいて、それぞれ試合する機会がある。(カテゴリーが)下のチームの試合から始まり、最後にトップチームの試合を見た後、酒を飲むという日本にはない文化がある」。ラグビーが生活に根ざし、他の強豪国と同様に、クラブが豪州ラグビーを支えている。

「トップ」との連携 課題

豪州代表について語るエラさん

一方、豪州代表「ワラビーズ」に目を向けると、2015年ワールドカップ(W杯)で準優勝した後、南半球対抗戦でニュージーランド(NZ)に6戦全敗、南アフリカには2勝2分け3敗とライバル相手に分が悪い。

元豪州代表主将のマーク・エラさん(60)は「以前は技術の高い選手がそろい、状況に応じて瞬時にプレーを選択できていたが、今はそれができていない。次代を担うスター選手も育っていない」と嘆く。

豪州協会はSRでプレーするトップ選手の強化に力を入れているが、関係者の間には、地域協会やクラブとの連携を欠いているとの指摘もある。同大学クラブのデイビッド・ヘイ・ゼネラルマネジャー(GM)(36)は、「NZの選手育成は代表チームのオールブラックスを頂点としたピラミッドができているが、豪州はそのようなシステムになっていない。もっと地域のクラブに目を向け、クラブレベルの 選手育成にも取り組んでほしい」と訴える。

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