[桜の戦士]姫野和樹(25)リーダー経験 心が成長

日本代表の大黒柱であるリーチマイケル(東芝)が、頬を緩めて語った。「姫野君、超強い。すごく強い。楽しみ」。2017年9月の代表候補合宿での一コマだ。言葉通り、当時23歳だったトヨタ自動車の新人はその後、一気に存在感を増していった。10月の世界選抜戦で先発し、初キャップを獲得した11月の豪州戦では終了間際に初トライも決めた。

フィジー戦を前にリラックスした表情で練習する姫野=7月26日、冨田大介撮影

トヨタの監督で、2007年ワールドカップ(W杯)で南アフリカ代表を優勝に導いたジェイク・ホワイト氏(55)も、潜在能力を見抜いていた。「日本代表の素質をすべて持っている突出した選手。勝ちたい気持ち、勝ち方を知っている」。1年目ながら、チーム改革の起爆剤として主将に抜てきされた。

これが精神面の成長につながった。所属する高校、大学で主将経験はなく、「チームを良くするために何もできず、部屋で泣くこともあった。人生で一番、ネガティブ(後ろ向き)だったかもしれない」という苦悩の日々。ノートにやるべきことや思いを書き留めるうち、「信頼もない中で何を言っても響かない。まずはチームの中で誰よりも頑張り、体を張って信頼を得ることが大切」と考えるようになった。

中学でラグビーを始め、恵まれた体格からすぐに注目を集めた。高校1年にして、身長は1メートル85を超えていた。春日丘高(愛知、現・中部大春日丘)の宮地真監督(53)は「大きくても動ける選手はなかなかいない。筋肉の柔らかさもあった」と振り返る。

強豪と毎週のように練習試合ができる環境ではなかったため、チームは筋力トレーニングを重視。専門のトレーナーの指導を受け、栄養面も学んで、ご飯を1日に6~7合食べるなど、合計6000~7000キロ・カロリーは取るようにしていた。

体作りに関しては、帝京大でさらに知識を深めた。「入学時はスポーツ少年だったが、大学でアスリートになった」。帝京大の岩出雅之監督(61)は言う。けがが多く、全国大学選手権で連覇を続けるチームにあって、先発出場の機会は多くはなかった。能力は十分だったが、将来を見据え、無理をさせてはいけないとの配慮を受けていたからだ。

昨秋のテストマッチ(NZ戦)で先発出場した姫野=2018年11月3日、伊藤紘二撮影

2015年の前回W杯時は、大学3年生だった。日本が南アフリカを破った大金星も、翌日の練習に備えて寝ていたため、生中継では見なかった。「その場に立っていなかったことがすごく悔しかったし、うらやましかった。こうなりたいと強く思った」

それから4年。日本代表に定着した今、いかつい男たちの中にあって、さわやかな笑顔はひときわ目立つ。W杯でスターになれるか。(帯津智昭)

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