[ジャパンの絆]<中>金髪の主将 心は「桜」

国際試合で闘志あふれるプレーを見せるマコーミックさん(奥)(1999年8月撮影)

「誰かが間違えて丸を書いたんだと思った」。元日本代表のアンドリュー・マコーミックさん(52)は、こう振り返った。

1998年2月、国際試合を控えた日本チームはホテルの部屋に集合していた。ホワイトボードにメンバーが記され、マコーミックさんの背番号13は、主将を示す丸印で囲まれていた。

ミーティング終了後、平尾誠二監督(故人)に改めて主将に指名され、外国出身者として初めて桜のジャージーを率いることになった。「主将は監督の右腕。驚いたけど、とても誇りに思ったよ」

この試合では、前半、ミスの多かったチームを一喝し、体を張っての突進やタックルで鼓舞。後半4トライの大逆転で勝利に導いたが、試合が終わると、「なぜ外国人を主将にするんだ」との批判が相次いだ。

平尾監督はこうした声に動じず、新主将について「ラグビーに取り組む姿勢が非常に良い」と評した。約6年前にニュージーランドから来日した「金髪の守護神」が、現在のチームで最も熱い闘争心を持っていると感じていたからだった。

日本代表の主将について熱く語るマコーミックさん

主将になったマコーミックさんは毎朝、誰よりも早く合宿所の食堂に向かった。チームメートと食事をしながら会話を重ね、席を立つのはいつも最後。コーヒーを10杯飲んだ朝もあった。

99年のワールドカップ(W杯)後、代表を引退し、リーダーシップに関する講演などを行う。「自分より他人のことを思いやる、そんな心を日本で学んだ。僕は見た目は外国人だけど、心は日本人になった」

外国籍でも「日本のため」

ラグビーは国際規定で、外国籍でも日本代表になれる。他の国や地域の代表として試合に出場した経験がなく、①日本生まれ ②両親、祖父母の1人が日本生まれ ③直前の3年間継続して日本に居住――などの条件を一つでも満たせば良い。

来月開幕するW杯で3連覇を目指すニュージーランド、ラグビーの母国イングランドを含め、多くの海外チームでも外国出身者が活躍している。

日本が3勝を挙げた前回W杯では、リーチマイケル主将(30)ら計10人の外国出身者がチームを支えた。キックの前の拝むようなポーズで注目を集めた五郎丸歩選手(33)は大会中、SNSで彼らについて発信した。

「母国より日本を選び、日本のために戦っている最高の仲間だ。国籍は違うが日本を背負っている。これがラグビーだ」

トンガ国籍のハラトア・ヴァイレアさん(20)は日体大柏高1年の時、前回大会の日本代表の躍進をテレビで見た。半年前に来日してからも、母国の代表になることが一番の目標だったが、最後まであきらめずにプレーする桜の戦士に心動かされた。

しばらくして買い物に行った際、日本代表のレプリカユニホームを手に取った。すると、一緒にいた監督から言われた。「それはハラトアには買わないよ。欲しかったら自分の力で手にしなさい」。この言葉で目標が決まった。

3年で高校日本代表に選ばれ、日体大に進学後、20歳以下代表に選出された。「親切で、たくさん応援してくれる日本人が好きになった。将来、W杯の代表になって、日本のために活躍したい」と夢を描いている。

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