ビール消費はサッカーの6倍~ラグビーワールドカップに「売り子」初投入

日本―トンガ戦でハイネケンを販売する売り子。会場で売られるビールはハイネケンだけ(8月3日、大阪府東大阪市の花園ラグビー場で)

「ワールドカップ(W杯)期間中、日本のビールは足りるのか」--。ラグビーW杯を主催する国際統括団体ワールドラグビー(WR)が東京都内で開いた記者会見で、そんな質問が飛んだ。

ラグビーファンのビール好きは、データでも実証されている。日本大会組織委員会によると、2015年イングランド大会の各会場におけるビール消費量は合計130 万リットル。1試合平均ではサッカーのイングランド・プレミアリーグと比べて実に6倍以上だった。

これほどビールを飲むのは、英国などでラグビーの試合が昔から社交の場だったことに由来する。ファンは試合中だけでなく、その前後もグラスを手にのどを潤し、交流を深める。「ファンがビールを飲むのは、ラグビーの伝統だ」。WRのビル・ボーモント会長はそう語る。

組織委は試合会場周辺の飲食店などに、ビールの在庫管理について注意を呼びかける一方、欧州では一般的ではない「売り子」をW杯で初めて導入し、スタジアムでは席に座ったままでも買えるようにする。

ハイネケン、9月製造量2.5倍

会場で販売できるビールは、ワールドワイドパートナーであるハイネケン(オランダ)だけ。190以上の国で飲まれている世界有数のブランドで、日本ではキリンビールが製造販売を手がける。W杯が近付くにつれて商品の取り扱い店舗も増え、今年1~7月の販売量は、前年比3割増と好調。6月からは、優勝トロフィー「ウェブ・エリス杯」をあしらった特製デザインの商品も展開している。9月の製造量は前年の約2.5倍に増やす予定で、年間販売目標を当初の1割増となる約110万ケースに上方修正した。

今大会は日本のビール業界にとっても大きな商機だ。キリンによると、国内ビール市場(発泡酒など含む、大手5社)は縮小傾向で、2009年の598万キロ・リットルが、2018年は499万キロ・リットルに減った。若者を中心に「ビール離れ」が進む中、起爆剤としてW杯への期待は大きい。キリンの担当者は「ハイネケンだけでなく、海外から来るファンに日本のビールを飲んでもらえれば」と話す。

ビールを気軽に飲める場所として、英国では街中のパブが親しまれている。国内で英国風パブ「HUB」を展開するハブ(東京都千代田区)は、W杯をきっかけに「パブ文化」の浸透を狙う。「英国では昼からビールを飲む。『昼飲み』の文化が日本で一気に広まるという手応えがある」と太田剛社長。2019年度は、過去最高だった前年度を1割上回る128億8000万円の売上高を目指す。

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