南アフリカ<下>はだしで熱中 裾野拡大

タグラグビーに取り組む子どもたち(ケープタウンで)=南恭士撮影

6月のある土曜日、南アフリカ南西部ケープタウン郊外にある芝生のグラウンドで、子どもたちがタックルのない「タグラグビー」に熱中していた。6~8歳の約150人が参加し、ボールを持って走る子を止めようと、はだしのままタックルの代わりに腰についたタグを取りにいく。

主催するタグラグビー協会から各学校に派遣されたコーチが指導する。子どもにラグビーへの興味も持ってもらい、競技人口の裾野拡大につなげているという。

プログラムが始まったのは1994年。1998年からは貧困地域の学校にも対象を広げており、スポーツに熱中させることで地域に蔓延する薬物や犯罪などから子どもを遠ざける効果も狙う。

タグラグビー協会ディレクターのスチュアート・マッコーネルさんは「貧困地域と裕福な地域の差が激しい。地域間の対戦を通して、子どもの頃から、違う地域のことも考えるようになる」と説明する。タグラグビーを経験し、本格的に競技を始める子もいるという。

その先にある高校や大学でのラグビーが盛んなのもこの国の特徴で、高校の試合でもテレビ中継がある。6月にあった伝統高校の試合には1万人超の観衆が集まり、熱のこもった応援で試合を盛り上げた。大学でも全国大会が注目されるなど、プロとともに国民のラグビー熱を高めている。

強国維持へ 試行錯誤

1995年にプロが容認される前、高校、大学で活躍した選手は地元クラブに入り、州代表などから国の代表「スプリングボクス」へとステップアップを目指すのが主流だった。次第に高卒でのプロ契約が中心となり、今また、流れが変わろうとしている。

来季からサラリーキャップ制が導入され、多い時で100人を超える1チームの契約選手が、45人に絞られるためだ。国の経済が冷え込む中、スポンサー収入の確保に苦しむ各チームの経営を安定させるのが狙いだが、有力選手はこれまでも資金力のあるイングランドやフランスなどのクラブに流出しており、少数精鋭で高レベルの選手を保持できるかが課題となる。

グレッグ・ヘクターさん

「(ラグビー界全体で)選手を育て、南アを強くしていくことが今後の挑戦になる」。南半球最高峰リーグのスーパーラグビーに参加するストーマーズ(ケープタウン)の競技力向上責任者グレッグ・ヘクターさんは言葉に力を込める。

これまでプロチームは将来性のある若手選手を多く抱え、育ててきた。ただ、これからは、大学やクラブでの成長も期待しなければならず、チームが大学などにスタッフを派遣することも考えられるという。ラグビー大国であり続けるために、模索しながら歩みを進めようとしている。(南アフリカ編は、南恭士が担当しました)

ラグビーワールド
南アフリカ<上>人種超え統合 世界一に
南アフリカ<中>初出場V 歓喜で一つに

関連ニュース

<<
ニュース一覧へ戻る
>>