アルゼンチン<上>代表躍進 サッカーに続け

前回W杯準々決勝で、アイルランドからトライを奪って喜ぶアルゼンチンの選手たち=AP

アルゼンチンといえば、タンゴ、牛肉、ローマ法王、マラドーナ、メッシ――。現地住民がそう語るように、世界的にサッカー大国として知られる。実はラグビーの歴史も古い。始まりは百数十年前にさかのぼり、ラグビー協会も1899年に設立された。

欧州から大量の移民が首都ブエノスアイレスに流れ込む中で、英国移民によってもたらされた。鉄道の敷設に従事する労働者がゴルフとともに娯楽として楽しみ、やがて学校で教えられるようになる。さらに鉄道の拡張に伴って首都から各地に広まっていった。

マルセロ・ロドリゲス会長

人口約4427万人(2017年)のうち97%をスペイン、イタリアの欧州系が占める移民の国。ラグビーがサッカー、バスケットボールに次ぐ国内3位の人気スポーツに根付いたのは、そんな国柄とも無縁ではない。ラグビー協会のマルセロ・ロドリゲス会長は「ラテン系のパッション(情熱)を持つ人々とともに発展した」と話す。

最も人気のあるスポーツは今もサッカーだ。強豪クラブ、ボカ・ジュニアーズの広報、マルセロ・ゲレーロさんによると、「この国では、生まれた時にどのチームのサポーターになるかが決まる。文化として浸透している」という。

座って声援ファンも「紳士」

サッカーとは明確な違いもある。「ラグビーは選手もファンも教育水準が高い。暴動を起こしたりもしない」とロドリゲス会長。昨年11月、サッカー南米クラブ王者を決めるリベルタドーレス杯決勝で、サポーターがチームのバスに投石して選手が負傷する事件が起きた。貧困層もプレーし、スタジアムに足を運ぶサッカーに対し、ラグビー選手は富裕層の家庭出身が多いという。

今年6月にブエノスアイレスで行われた南半球最高峰リーグ、スーパーラグビーのジャガーズ(アルゼンチン)―サンウルブズ(日本)戦でも、ファンは行儀良く座ったまま声援を送った。立って応援するサッカーとは対照的だ。観戦したマヌエル・ロドリゲスさん(85)は「サッカーもラグビーも両方好き。ラグビーの魅力は、サッカー以上の団結力と、相手や審判への敬意だ」と話す。

現在の競技人口は約15万人に上り、500を超えるクラブができるまでに発展した。国内プロリーグが存在しない中、ラグビー人気を押し上げたのは近年、世界の強豪に仲間入りした代表チームにほかならない。

1999年ワールドカップ(W杯)で8強入りすると、2007年W杯で過去最高の3位に食い込んだ。躍進は続き、世界ランキングトップ10の常連となり、15年W杯も4強入り。だからこそ、今年のW杯への意気込みも強い。ロドリゲス会長は「サッカーにはかなわないが、活躍次第で、サッカーに次ぐ国内2位の人気スポーツになる可能性はある」と熱っぽく語る。

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