日本代表[直前診断]<上>賢くキック 戦術に幅

タックルされながらもオフロードパスでボールをつなぐリーチ(2018年6月のイタリア戦)

 ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会の開幕が迫ってきた。4年前の前回大会で3勝を挙げて躍進した日本代表は、今大会の目標として史上初の8強を掲げる。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)率いるチームの強みと課題を検証する。

8月29日、W杯日本代表メンバー発表の記者会見で、ジョセフHCは「スピードを生かして(陣形が整っていない)アンストラクチャーで強みを発揮したい」と話した。敵陣へキックを蹴りこんで陣形を崩した上で、相手へ圧力をかけてボールを奪い返し、防御にできた穴をスピードのある攻撃で突く。2016年の就任以来、キックを効果的に使う戦い方にこだわってきた。

4年前、ジョーンズHCが指揮する日本は、俊敏性や持久力を生かしてボールを保持し、素早いパス回しで攻めた。基本的な戦い方は変わったが、今年7月のフィジー戦はキックを封印し、かつてのように球を保持して攻めた。カウンター攻撃が得意なチームに対してむやみに球を渡すと危険だからだ。苦手としてきたフィジーにも快勝し、相手や戦況に応じて戦術を使い分ける幅が身についた。

選手は戦い方について話が及ぶと、口々に「モメンタム(勢い)」と言う。W杯で対戦する相手はどこも日本よりも大柄だ。体格差を埋めるため、攻守両面で「勢い」が重要になる。

攻めのパス、FWも必須

特徴的なのが、タックルされて体勢を崩されながらパスをする「オフロードパス」の多さだ。フランカー姫野(トヨタ自動車)が「攻撃に勢いをつけるためには絶対に必要」と話すように、タックルを受けてもラックを作らず流れるように攻め、スペースを突くために必須のプレーとなっている。

片手で球を投げることの多いオフロードパスは、確実性が通常のパスよりも低い。さらに手が小さい日本人には向いてないとされ、ジョーンズHC時代は推奨されていなかった。ジョセフHCはその意識を見直し、昨年の合宿からFWも含めて練習に取り入れた。

FWにもBK並みのパスと運動量を求めるのも特徴だ。スクラム最前列のプロップが、攻撃ラインに入って相手を引きつけてパスもする。スクラムの強さに定評のあるプロップが運動量の少なさを指摘されて選考外となったのも、目指す攻撃スタイルを物語る。

ただ、6日の南アフリカ戦では課題が露呈した。タックル後のボール争奪戦で圧力をかけられ、テンポのある攻撃は影を潜めた。防御では相手の勢いを止めるために積極的に前へ出た背後のスペースに高いボールを蹴られた。空中戦で競り負け、簡単に失点する場面も目立った。

W杯ではアイルランド、スコットランドも、南アと同じように攻めてくることが予想される。「もう一度、細部にこだわりたい」とリーチ(東芝)は言う。残り1週間での修正がかなえば、8強も見えてくる。

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