タトゥー拒否?期間限定で受け入れ?…ラグビーW杯控え手探り続く


タトゥー客の入館を断る立て看板が設置されている「神戸サウナ&スパ」(神戸市中央区で)

タトゥー客の入館を断る立て看板が設置されている「神戸サウナ&スパ」(神戸市中央区で)

約50万人の訪日が見込まれるラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会を控え、各地の入浴施設で、タトゥー(入れ墨)をした外国人客への対応が分かれている。「もてなし」のため期間限定で受け入れる施設がある一方、入場拒否も依然として多い。さらに多数の外国人が訪れる東京五輪・パラリンピックを前に、手探りが続いている。

期間限定でOK/シールで隠して/「客怖がる」NG

豊田

「従業員に賛否はあったが、多くの市民が誘致に関わったW杯に協力するため認めることにした」。豊田スタジアム(愛知県)から車で30分ほどの
猿投(さなげ)
温泉「ホテル金泉閣」運営会社社長、早川政義さん(58)は悩んだ末の決断だったと明かした。

今月20日に開幕するW杯は、タトゥーが浸透している欧米からの客も多い。同ホテルでは暴力団排除の観点からタトゥーをした客の入浴を禁止しているが、W杯期間中、外国人の宿泊客に限って認める。タトゥーの有無は確認していないが、豪州や英国から約20人の宿泊予約があり、ホームページや館内の貼り紙で、日本人客に理解を求めている。

大阪

大阪市港区の「空庭温泉」は、大阪府や神戸市で行われる試合のチケットを見せると料金が半額になるキャンペーンを実施する予定。タトゥーをした外国人客には施設で販売するシール(縦10センチ、横14・5センチ)を貼ってもらい、5枚以内で隠せれば入場を許可する。

大分

国内有数の温泉地・大分県別府市は、バスタオル1枚の男らが手おけを
楕円(だえん)
球に見立ててパスを回すPR動画を制作し、訪日客の呼び込みを図る。市旅館ホテル組合連合会はタトゥーがある外国人の受け入れを検討。3~6月、日本人客約2000人にアンケートしたが、入浴を「認めてもいい」との回答は12%で、全面受け入れは見送った。

連合会はタトゥーをした外国人が旅館などを訪れた場合、入浴可能な市営温泉などを案内。別府温泉のサイト「ENJOY ONSEN」でも、タトゥー客が入浴できる約100か所を紹介している。

横浜

決勝戦などが行われる横浜市の温浴施設は、大会中もタトゥー客の入場を断る。担当者は「タトゥーには反社会的勢力のイメージが強く、客が怖がる」と話した。

入れ墨に詳しい山本芳美・都留文科大教授(文化人類学)は「欧米では家族の名前や、ファッションとしてのタトゥーを入れる外国人が多い。文化の違いがトラブルを生まないように、入浴を受け入れない施設は、ホームページなどで利用禁止と、理由などを説明したほうが良い」と話している。

ラッシュガード 各国選手に配布

ラグビーW杯の大会組織委員会は各国の代表選手に、水着などの上に着て肌を隠す「ラッシュガード」を配布した。プールや温泉施設で使用してもらうことを想定しており、今のところ不満の声は上がっていないという。

国際統括団体「ワールドラグビー」(本部・アイルランド)は3年以上前から各国のチームに対し、日本文化を尊重するよう求めている。担当者は「選手たちは、日本のプールやサウナなどではタトゥーを隠すようだ」としている。

      ◇

56%「お断り」

日本を訪れる外国人旅行者は近年、急増している。観光庁によると、2008年は835万人だったが、18年は約3・7倍の3119万人に上った。政府は東京五輪・パラリンピックがある20年に4000万人の受け入れを目指している。

外国人に多い入れ墨やタトゥーについて、観光庁が15年に約3800施設を対象に実施した調査(回答率約15%)によると、約56%が入浴を断っていた。スーパー銭湯などのレジャー型施設でつくる「温浴振興協会」の諸星敏博代表理事は「各施設の常連客の多くは50歳代以上で、入れ墨への忌避感が強い」と話した。

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