日本代表[直前診断]<下>リーダー陣 判断力磨く

リラックスした表情の選手たち。リーダー陣を中心に選手たちの話し合いが増えた(14日、東京都内で)

日本代表には主将のリーチ(東芝)の他に9人のリーダーがいる。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)の提案で生まれた構図で、攻撃、防御などそれぞれに担当がある。そこにはグラウンドでの判断力を鍛える意図がある。

4月、日本代表候補で編成する特別チームの試合で、指揮官は「実験」をした。35点リードのハーフタイムでコーチ陣が控室に入らず、リーダー陣に指示を任せた。最後まで気を緩めず戦えるか試すためだ。負傷のリーチが不在の中、SH流(サントリー)が「開始10分で相手を黙らせよう」と呼びかけると、SO田村(キヤノン)も速い攻撃を継続するよう伝え、66―21と大勝。ジョセフHCを喜ばせた。

リーダー陣の成長はチームに厚みを持たせた。ポジションが近い少人数のグループでの話し合いも増えた。HCは「ワールドカップ(W杯)では好機は一瞬しかない。そこで選手が自信を持って決断する必要がある」と、主体性を高める働きかけをしてきた。前回W杯で、選手の判断力に疑問を感じたジョーンズ前HCが、プレーの選択肢を狭めたのとは大きな違いだ。

もう一つの強化の柱が、計画的な休息と特訓だ。代表候補のスケジュールを管理できる立場になると、例年なら年明けまで続くトップリーグを昨年は12月中に終わらせ、リーチが「ラグビー人生で初めて」と話す約1か月の休息期間を作った。これまでもオフはあったが、多くの選手が所属先で練習していたことを伝え聞いたジョセフHCは半ば強制的に休ませたという。

代わりに6~7月の宮崎での長期合宿で追い込んだ。ジョーンズHC時代も1日3回、4回の練習などが「地獄」と称された。だが、4年前を知る選手たちは、今年の合宿の方がきついと声をそろえた。

プレー選択 選手に自信

陣形が整わない状況での攻撃を目指す上で、適切な判断と相手を上回る運動量は欠かせない。二つの取り組みの効果を最も実感するのが、3大会連続代表となったSH田中史(キヤノン)だ。「一人ひとりの戦術理解度が高いのでミスが起きても自分たちで修正できる」と4年前との違いを語る。個人としても34歳の今年、持久力テストで28歳以来となる最高値を記録した。

W杯で戦う強豪相手には、試合中の修正力が必須だ。6日の南アフリカ戦では防御網に穴を開けるなど、連係面でミスも出た。試合直後にはリーダー陣が修正方法を話し合った。「開幕までにプレーの精度を磨きたい」とリーチ。積み上げたチーム力を発揮する大舞台が目の前に迫ってきた。(この連載は、矢萩雅人、中安真人が担当しました)

日本代表「直前診断」
<上>賢くキック 戦術に幅
<中>強力スクラム 無駄なし

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