日本4トライ…パス乱舞・逆転劇、ボーナス勝ち点獲得

トライは5点、ゴールは2点、ペナルティーゴールは3点、ドロップゴールは3点

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会で、グループリーグA組の日本代表は20日、開幕戦でロシア代表に30―10で逆転勝ちした。4トライ以上で得られるボーナスポイントを含め、勝ち点5を手にした。開始早々にキック処理のミスから先制トライを許したものの、松島の2トライなどで逆転して折り返した。後半はラブスカフニのトライと、松島のこの日3本目のトライで突き放した。

[フィフティーン]ホームの重圧 前半ミス連発

 【交代】(日)中島(神戸製鋼)=稲垣、具智元(ホンダ)=バル、田中(キヤノン)=流、トンプソン(近鉄)=ファンデルバルト、松田(パナソニック)=田村、ツイ(サントリー)=リーチ、山中(神戸製鋼)=トゥポウ、坂手(パナソニック)=堀江(ロ)ガルブゾフ=フェドトコ、マトベエフ=セリスキー、ポリワロフ=モロゾフ、スイチェフ=ジワトフ、ガイシン=クシナリョフ、ビチエフ=ゴトフツェフ、ソゾノフ=ゲラシモフ、ペロフ=ドロフェエフ

【交代】(日)中島(神戸製鋼)=稲垣、具智元(ホンダ)=バル、田中(キヤノン)=流、トンプソン(近鉄)=ファンデルバルト、松田(パナソニック)=田村、ツイ(サントリー)=リーチ、山中(神戸製鋼)=トゥポウ、坂手(パナソニック)=堀江(ロ)ガルブゾフ=フェドトコ、マトベエフ=セリスキー、ポリワロフ=モロゾフ、スイチェフ=ジワトフ、ガイシン=クシナリョフ、ビチエフ=ゴトフツェフ、ソゾノフ=ゲラシモフ、ペロフ=ドロフェエフ

後半28分、ロシア選手を振り切って自身3つ目のトライを決める松島(中央)=三浦邦彦撮影

後半28分、松島が相手インゴールに走り込んでチーム4トライ目を奪うと、会場に安堵(あんど)の空気が流れた。日本が初戦を勝利で飾り、4トライ以上で得られるボーナス点も手にした。ただ、試合開始直後から単純ミスを連発し、世界ランキングでは格下のロシア相手に前半は大苦戦を強いられた。

試合開始のキックオフを捕球できなかった。さらに、相手キックをトゥポウが落下点を見誤り、落とした。こぼれたボールを相手に拾われ、そのまま先制トライを奪われた。ボールを保持して攻め込んだ後、ボールを落とす場面も相次いだ。

地元開催の重圧については、入念な対策をしてきたはずだった。昨年9月に和歌山で行われた代表候補合宿。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、W杯でどのような重圧がかかることが想定されるか選手に考えさせ、その対策を話し合った。ニュージーランドから五輪選手などを指導した経験があるガルブレイス・メンタルコーチを招き、常に強気でプレーに臨む思考を選手に植え付けようとした。

この試合の先発で、W杯経験者は15人中5人だけ。W杯初出場の姫野は開始直後にボールを落とした。「緊張した。国歌斉唱を聞いたときに涙してしまった。精神面の制御があまりできなかった」。一方、3度目の堀江は「落ち着いていた。こういう展開は想定内。自分たちの中で修正していけば、という考えは頭の中に入れていた」と振り返った。

リーチが自分たちの強みの一つに挙げていた「修正力」は見せた。次戦でぶつかるのは世界ランキング1位のアイルランド。この経験を生かし、さらに高いレベルの戦いで挑みたい。(矢萩雅人)

右手1本 磨いた武器

前半、ダブルタックルを受けながら突破を図るラファエレ=冨田大介撮影

前半、果敢に攻め込む中村

指揮官がこだわってきた武器が日本を救った。攻撃に勢いを生むため、タックルを受けながらパスをする「オフロードパス」がトライを演出した。

7点を追う前半11分、ラファエレが相手ゴール前でタックルを受けながら右手1本で後ろ手に技ありのパスを見せ、最後は松島がトライ。38分には中村が相手に脚を取られて倒れ込みながら右手1本で山なりのパスを放り、受け取った松島がインゴールへ駆け込んだ。

無理な体勢から片手で投げることの多いオフロードパスは、正確性が通常のパスより低く、相手に奪われるリスクが高い。それでもジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は流れるような攻撃をするため、フォワード、バックスを問わずに多彩なパス練習に時間を割いてきた。中村は「オフロードパスはこのチームが始まった当初から培ってきたので自信を持って出せた」と胸を張った。

前夜、ジョセフHCは選手31人全員の名前と「ONE TEAM(ワンチーム)」と書かれたジャージーとともに、母国ニュージーランドの伝統武具で作ったアクセサリーを手渡し、一体感と闘争心をチームに授けた。自国開催の重圧の中、磨いてきた技術が日本に勝利をもたらした。(中安真人)

リーチ突進「歓声が力」

前半、必死にパスを出すリーチ

リーチは浮足立つチームに声をかけ続けた。タックルで相手を倒し、力強い突進で観衆を沸かせる。重圧にのみ込まれそうになるチームを必死に支えた。

開幕前夜に「楽しもう」と声をかけたが、自らも捕球点を見誤るなど全体的にミスがあった。その中でも、「地に足をつけて修正しよう」とリーダー陣とともに仲間を鼓舞し続けたことが、逆転劇の下支えとなった。

今大会に向けて掲げたキーワードは「多様性」だ。約半数が外国出身選手のチームの主将として、原爆を投下されるなどの日本の歴史を選手に伝えてきた。「日本も外国人と仕事をする時代が絶対来る。スポーツで、それができるところを見せたい」。生まれも文化的背景も違う仲間が、一つの目標に向かって進む姿を示したいという思いがある。

「満員のスタジアムは最高だった。重圧の中で歓声が力になった」。自身を成長させてくれた日本の地で勝利を飾り、ほっとした表情だった。(中安真人)

ラブスカフニ パワー全開

後半6分、トライを決めたラブスカフニ(左から2人目)を祝福する日本代表の選手たち

日本のラブスカフニが圧巻のプレーを見せた。後半6分、相手選手をタックルで止めて球を力任せに奪い取り、一気に独走してチーム3本目のトライを決めた。「体のぶつかり合いの勝負になると思う」と話していた一戦で、南アフリカ出身の頼れる男が大観衆を沸かせ、「満足するトライが取れた。自分がやってきたことが報われたと思った。最高の一瞬だった」と喜んだ。

関連ニュース

<<
ニュース一覧へ戻る
>>