アイルランド猛進…最強FW、スコットランドにスキ与えず

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は22日、日本と同じグループリーグA組で、アイルランドがスコットランドから4トライを奪って快勝した。B組では、イタリアがナミビアを下した。最激戦区のC組は、イングランドがトンガを退けた。

T(トライ)は5点、G(ゴール)は2点、PG(ペナルティーゴール)は3点、DG(ドロップゴール)は3点

前半、ボールを持って突進するアイルランドのスタンダー=伊藤紘二撮影

アイルランドが盤石の力強さを見せた。派手なプレーは少なく、堅実な戦いぶり。特にフォワード(FW)戦で圧倒した。

7点リードの前半13分、ラインアウトからモールを押し込み、最後は主将のベストがあおむけに倒れ込みながらも球をインゴールで押さえてトライ。24分にも、相手ゴール前5メートルでのスクラムから素早く球を出し、近い位置でFWが突進を続け、最後はファーロングがトライを決めた。

FWの多くの選手が入れ替わった後半20分頃には、相手ボールのスクラムで10メートル近くも押し込み、球を奪った。

昨年は全勝優勝した欧州6か国対抗で、今年は3勝2敗の3位だった。直近でW杯優勝候補のウェールズに2連勝するなど調子を上げ、世界ランキング1位で今大会を迎えた。それでも、シュミット監督は「どこが勝つかはわからない。それがW杯だ。ランキングではなく、ベストを出せたチームが勝つ」と気を引き締めて初戦に臨んだ。

スコットランドをノートライに抑える快勝に、ベストは「自分たちにとっていいスタート」と語った。28日の次戦で、日本と対戦する。指揮官は「日本は危険なチーム。試合展開は速く、技術も持っている」と語り、複数の日本選手の名前も挙げ、入念に分析している様子を示した。過去8強が最高だったW杯の初制覇に向けて、隙は見当たらない。(帯津智昭)

アイルランド・シュミット監督「(控えも含め)23人全てが、いい試合をしてくれた。雨が降って苦戦することはあったが、得点を重ね、リスクのあるプレーをしなくてもよかった」

■セクストン安定感

アイルランドは、昨年の国際統括団体ワールドラグビーの年間最優秀選手に輝いたセクストンが先発。得点は前半7分に決めた、トライ後のゴールのみだったが、屈強なFWを生かす安定したプレーを見せた。「W杯は、プレッシャーに耐えるメンタルが必要だ。そのためにベストを尽くす」と話していた34歳の司令塔。チームに欠かせない存在だ。

スコットランド屈辱…まさかのノートライ

後半、タックルで止められるスコットランドのメイトランド

世界ランキング上位が相手とはいえ、これほどの完敗は予想していなかっただろう。スコットランドの主将マキナリーは「大いに失望した。相手が良かったとしか言えない」。選手はみな落胆を隠せなかった。

「最初の20分間が全てだった」とタウンゼンド監督。開始早々に許したトライは、「全く息が整っていなかった」という防御の隙を突かれ、相手FWに中央突破されたのがきっかけ。守りのミスや反則であっけなく失点を重ねると、攻めのリズムにも影響した。前半20分過ぎから攻撃に転じたものの、すぐにパスカットされて一気に前進され、3本目のトライを献上した。

スコットランドは前回大会で日本が45点を奪われて唯一黒星を喫した相手。司令塔のラッセルら4年前の経験者も多く、バックスによる展開を特に強化してきた。それがノートライに終わり、「全ての面で改善し、ここから3勝するしかない」と指揮官。過去8大会で決勝トーナメント進出を逃したのは1度のみ。悲壮な決意で挑む。(勝俣智子)

スコットランド・タウンゼンド監督「ベストなチーム相手にベストを尽くせなければ、こういう結果になる。積極性に欠け、後半は雨で天候にも左右された」

イタリア 白星発進

※イタリアが前半に認定トライ=7点=1を含む。

後半29分、イタリアのポレドリがトライを決める

イタリアのパリセ主将にとって記念すべき試合は、消化不良だったに違いない。この試合で史上3人目となるワールドカップ(W杯)5大会連続出場を果たした36歳のベテラン。試合後、「イタリアにとって素晴らしい試合だったとは思えない」と口を開いた。

試合開始早々、チームはミスが目立った。ゴール前に迫りながら球を落としたり、パスがつながらなかったり。ラインアウトでも息が合わないなど、自分たちで流れを悪くしていた印象だ。

リズムを取り戻すきっかけとなったのは、持ち味であるスクラム。前半10分、ゴール前で得たペナルティーキックのチャンスでスクラムを選択すると、力強く押し込んで認定トライを奪った。そこから徐々にペースをつかみ、点差を開いていった。

最高の滑り出しとはいかなかったが、4トライ以上で得られるボーナス点を加えた勝ち点5を手に入れるという目的は果たせた。次のカナダ戦をしっかりと勝ち、ペースを上げていきたい。(南恭士)

ナミビア・デービス監督「修正しないといけないところはあるが、ポジティブな面の方が多かった」

イングランド前進…勝ち点5 エディー監督笑顔

T(トライ)は5点、G(ゴール)は2点、PG(ペナルティーゴール)は3点、DG(ドロップゴール)は3点

試合後、笑顔を見せるイングランドのエディー・ジョーンズ監督=いずれも杉本昌大撮影

前半30分、自身2本目のトライを決めて喜ぶイングランドのツイランギ(右)=杉本昌大撮影

イングランドのエディー・ジョーンズ監督は、選手が不用意な反則を犯すと、机を激しくたたいて怒りをあらわにした。だが、格下のトンガから望み通りの勝ち点5を手にした後は柔和な表情で「本当にうれしい。けが人もいない」。前回大会で日本代表を率いた名将は、4年の時がたっても、チームが変わっても、感情を隠さない姿はそのままだった。

番狂わせを狙うトンガは開始から全開で体をぶつけてきた。イングランドはバックスを走らせ、前半は2トライを奪って15点リードで折り返した。ただ、後半はジョーンズ監督のいら立ちが募る展開が続いた。

ゴールラインが近づくと反則を重ね、ミスで度々ボールを失う。反則数は相手を上回った。相手ゴール前で数的優位を作りながら、パスミスでボールがタッチラインを割る場面もあった。

後半16分に勝利を決定的とする3トライ目を奪ったが、ボーナス勝ち点を得られる4トライ目を挙げたのは後半36分だった。フランス、アルゼンチンと強豪ひしめく激戦のC組。中3日で迎える米国戦に向けて「がっかりさせることはない」と言い、こう続けた。「W杯は100メートルの短距離走ではない。試合ごとに安定して、完成していく」(今井恵太)

■トンガ闘志むき出し

W杯で3度目の対戦でも初勝利はならなかったトンガだが、粘り強く戦った。主将のピウタウは「相手にもっとパンチを当てたかったが、ポイントを稼げなかった」と悔やんだものの、戦いぶりは見事。前半10分にペナルティーゴール(PG)で先制されても、強烈なタックルで相手の落球を誘い、すぐにPGで同点に。前半、イングランドが猛攻を仕掛けても、選手が必死に身を投げ出して防ぐ場面もあり、見せ場は作った。人口約10万人の島国を代表する猛者たちの懸命なプレーに大きな拍手が送られていた。

トンガ・ケフ監督「イングランドは我々を締め付けるようにプレーしてきて、思うようにできなかった。ただ、スクラムで持ちこたえるという目標についてはうまくいった」

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