斎藤工記者、ラグビーを撮る

トップリーグ選手の迫力 白黒で迫った

読売新聞のCMキャラクターを務める俳優の斎藤工さんが、本紙「特別記者」として取材した模様をお届けする「斎藤工新聞」。第2弾となる今回は、ワールドカップ(W杯)の開幕で注目を集めるラグビーがテーマです。トップリーグ・キヤノンイーグルスの選手らを取材し、元日本代表で解説者として活躍中の野沢武史さんに話を聞く斎藤さんを追いました。

W杯の大舞台 楽しんで

選手に聞く

キヤノンイーグルスは、東京都町田市に拠点を置くトップチーム。日本代表に田中史朗、田村優の両選手が選ばれている。この日は、今村友基コーチと選手5人を取材した。

斎藤さんはまず、日本代表の両選手への期待を質問。今村コーチは「日本のラグビー選手全員を代表して、伸び伸びとラグビーを楽しんでほしい」とエールを送った。城彰選手は、明治大学時代から友人の田村選手について、「天才肌に見えるが、学生時代から試合後も遊びに行かずビデオでプレーを振り返っていた」とのエピソードを明かした。

外国の選手が多いラグビーの特性にも注目し、コミュニケーションの取り方についても質問した。宇佐美和彦選手は「きつい練習を一緒にすることで、自然に一つになるのがラグビーのいいところ」と語った。

チームは、地元の小学校で(タックルがない)タグラグビー教室を開いており、上原哲選手は講師として参加。斎藤さんから、地域との関わり方について質問を受けると、「将来、ラグビーをやりたいと思う子どもが一人でも増えてほしい」と思いを語った。

「ラグビーほど動物的で、かつ知的なスポーツはない。W杯は、多くの人がそこに気づく大きなチャンス」と斎藤さん。初心者向けの観戦の楽しみ方を尋ねると、「世界最高レベルのスピードとパワー」(上原選手)、「女性は、かっこいい選手を探す楽しみ」(城選手)とのポイントが挙がった。

スクラム びくともしない

グラウンドで

選手とコミュニケーションを取りながら撮影する特別記者の斎藤工さん

斎藤さんはインタビュー終了後、グラウンドに出て練習風景を撮影した。長身の選手がジャンプして上空に手を伸ばした最高地点を目がけてボールを投げ入れ、相手と競り合いながらつかみ取る「ラインアウト」、重量級の選手3人が、互いの腰に手を回して結束を固め、体勢を低く沈めるスクラムの最前線――。大男たちが間近で見せる迫力に、シャッターを切る手が止まらない。

中でも注目したのは、選手の太ももやふくらはぎなどの発達ぶり。「ポジションによって筋肉の付き方が違うんですね」。スクラムを組む選手は胸回りや太ももがとても太く、バックスの選手は均整の取れた筋肉の付き方をしていた。

「白黒写真家」の顔も持つ斎藤さんは、グラウンドを動き回って選手に頻繁に声をかけ、いい表情を引き出しながら撮影。「プレーの躍動感や、この肉体に至るまでのストーリーなど、ラグビーの魅力が撮影できたと思う」と話した。

撮影後は、選手と輪になってパス回しを体験した。一時期、ラグビーをテーマにした映画への出演に備え、体重を20キロ増やして練習も重ねていた斎藤さん。パスを受ける際は、両手の手のひらを相手に見せて備えるという基本がしっかりしていた。

サッカー経験者の斎藤さんに、選手からは「ラグビーをしていたら長身のバックス選手で活躍していたのでは」との声も上がった。

選手が1対1で肩を合わせて組むスクラムの練習では、その上に乗せてもらい、「びくともしない」と、安定感に驚いていた。

大男を倒す タックルが魅力…野沢武史さん 元日本代表

野沢武史(のざわ・たけし) 元ラグビー日本代表。40歳。現役時代はフォワード第3列のフランカーとして、突破力を武器に慶応大、神戸製鋼で活躍。現在は山川出版社代表取締役副社長の傍ら、コーチやテレビ解説者を務めている。

斎藤さんはラグビーの魅力をさらに深掘りするため、元日本代表の野沢武史さんにも、W杯の見所や注目チームなどについて話を聞きました。

対談

斎藤 ラガーマンにとって、W杯とはどんな存在なのか。

野沢 運もないと立てない場所。大会後の引退など、人生の区切りにする人も多い。

斎藤 前回W杯で日本代表が南アフリカに勝つまで、「ジャイアントキリング(番狂わせ)」のすごさを知らなかった。

野沢 私も、まさか勝つとは思わなかった。ラグビーのゲーム性が変わってきて、フィジカル勝負だけでは勝てなくなり、戦略の重要性が高まってきたことを示した出来事だった。

斎藤 ラグビーの魅力とは。

野沢 何といっても「多様性」だと思う。30人がグラウンドに入って、ポジションごとに役割が違い、小さい選手が大男にタックルをしないといけない。国の代表選手になる条件が国籍ではないため、国歌を大声で歌い、日本のために体を張る「和魂洋才」の外国人選手もいる。

斎藤 初心者が観戦を楽しむ方法は。

野沢 コンタクトの激しさを見てほしい。一番大きな選手にタックルするのは、軽自動車に衝突するようなもの。ラグビーはコンタクトの連続なので、そこを楽しんでもらえれば。

斎藤 選手の発掘・育成プロジェクトを手がけていますね。

野沢 全国には、体が大きくても、様々な理由で選手として成長する前にラグビーをやめているケースが少なくない。そういう選手を長い目で育てるのが、日本のラグビー界の底上げにつながると思っている。

斎藤 出版を通してラグビーの魅力を広めることは。

野沢 教科書会社として、静岡県のラグビーの教本を作らせていただいた。「ラグビー憲章」に掲げられている「品位、情熱、結束、規律、尊重」の五つの言葉は、教育が追い求めている価値そのもの。教本を通じて、ラグビーによる人間教育を広められるように頑張りたい。

斎藤 前回の五郎丸歩選手のように、W杯で注目を集めそうな日本の選手は。

野沢 田村優選手。見た目がかっこいいというのは大きい。キッカーなので得点シーンにもよく絡む。彼が活躍できるかどうかが日本の勝敗を握っている。

斎藤工さんが撮影した写真と、取材の様子を撮影した写真は、こちらで見られます。(一部、読者会員登録が必要になります)。

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