奇跡と言わせぬ…ラグビーW杯 アイルランド戦

アイルランドに勝ち、喜ぶ日本代表の選手ら(28日午後、エコパスタジアムで)=伊藤紘二撮影

日本の大金星だ――。28日にエコパスタジアム(静岡県袋井市)で行われたラグビー・ワールドカップ(W杯)で、日本は世界ランキング2位のアイルランドに逆転勝ちした。前回大会で優勝候補の南アフリカを破った「世紀の番狂わせ」以来の歴史的勝利に、列島は興奮に包まれた。

「ニッポン」大コール

後半18分、福岡堅樹(けんき)選手(27)が逆転トライを奪うと、スタジアムを埋めた約4万7000人から「ウォー」という地響きのような歓声が起きた。東京都目黒区の会社員女性(34)は、「リーチマイケル主将が途中出場してから、会場全体が『勝ちに行くんだ』という雰囲気に変わった」と興奮気味に話した。

さらに田村優選手(30)が、だめ押しのペナルティーゴールを決めると、観客席からは「ニッポン、ニッポン」の大コール。歴史的勝利の瞬間、観客は総立ちになり、涙を流して喜ぶ選手に惜しみない拍手を送った。

中村亮土選手(28)の父、信也さん(62)は「すごい試合に感動し、涙が止まらない。こんな試合を見せてくれた息子にも感謝したい」と話した。

日本代表のユニホームを着て応援した浜松市の会社員男性(23)は、「前回の南アフリカ戦の感動を超える瞬間に立ち会えた。これはジャパンの実力。もう『番狂わせ』とは言わせない」と目を潤ませた。

スタジアム周辺では、両チームのファンによる「ジャパン」「アイルランド」のコールが起こり、互いに肩を組む光景も。家族4人で観戦した浜松市の小学6年女児(11)は「すごい迫力だった。歴史的な日に来られてうれしい」と話し、アイルランドのファンとハイタッチしていた。

元日本代表の吉田義人さん(50)「前回W杯の勝利には南アフリカの油断があったのかもしれない。今回、周到に準備していたアイルランドに勝ったのは正真正銘、日本の実力だ。この勝利で、日本は優勝候補の一角に名乗りを上げた」

列島 興奮の渦…各地でPV 熱い応援

日本のトライが決まり喜ぶパブリックビューイングの観客ら(28日午後、東京都千代田区で)=青山謙太郎撮影

手に汗握る好ゲームに、全国のファンゾーンやパブリックビューイング(PV)も沸いた。

福岡堅樹(けんき)選手(27)の地元・福岡県古賀市ではPVが開かれ、父の綱二郎(こうじろう)さん(61)と母のぶさん(55)ら約190人が熱戦を見守った。

福岡選手は日本大会直前のテストマッチで右脚を負傷。開幕戦を欠場し、この日は控えとしてベンチ入りした。試合前、のぶさんがけがを案じてLINEのメッセージを送ると、「大丈夫」と返信があったという。

後半途中から出場した福岡選手が逆転のトライを決めると、会場の興奮は最高潮に。前回W杯の日本代表のジャージー姿で応援した綱二郎さんは、涙を浮かべながら周囲と抱き合った。

試合後、綱二郎さんはマイクを握り、「堅樹が最高のパフォーマンスを見せてくれた。皆さんの声援が静岡まで届きました」と喜びを爆発させた。のぶさんも「チャンスに決めるのが息子の仕事。よくやってくれた」と興奮した様子だった。

東京・有楽町のファンゾーンでは多くのファンが日本が勝利した瞬間、ハイタッチを繰り返した。新宿区の会社員女性(47)は、「画面越しでもラグビーのすごい熱気を感じた。一気にファンになりそう」と話した。

会場には緑のユニホームを着たアイルランドファンの姿も。試合終了直後は残念そうな表情を見せたが、日本のファンに「コングラッチュレーション(おめでとう)」と声をかけた。首都ダブリンから来日した医師(38)は「悲しい結果だが、ここにいられて幸せだ。日本のファンはフレンドリーですばらしい」と満足そうだった。

アイルランド代表の公認キャンプ地・千葉県市原市の商業施設でもPVが開かれた。桜のジャージー姿で、交流したアイルランド代表のサイン入りボールを手にした小学3年男児(9)は「優勝候補を倒した日本はすごい。アイルランドも応援しているので、2チームとも予選突破してほしい」と期待を込めた。

PVを企画した同市オリンピック・パラリンピック推進室の渡辺聡室長(46)は「台風被害で大変な思いをした人も多い中、自粛するのではなく、少しでも市民に喜んでもらえればと思った。盛り上がることができてよかった」と話した。

関連ニュース

<<
ニュース一覧へ戻る
>>