精密スクラム 力逃がさず…「16本の脚 常に地をつかめ」

日本―アイルランド戦の前半、スクラムを組む両チーム。スクラム戦での強さが、日本の金星を生み出した=冨田大介撮影

日本代表は1日、ワールドカップ(W杯)グループリーグ3戦目のサモア戦(5日・豊田スタジアム)に向けて東京都内で練習した。9月28日のアイルランド戦で自信を深めたスクラムが次戦でも鍵を握りそうだ。

アイルランド戦の前半34分、自陣22メートルライン付近での相手ボールスクラム。このピンチで日本は圧力に負けずに押し返し、アイルランドの反則を誘った。普段は温厚なプロップ具智元(ホンダ)が珍しく激しい表情で喜ぶなど、フォワード陣は沸き立った。その約15分前にスクラムで反則を取られた日本がこの場面では組み勝ち、スタンドからは大歓声が上がった。相手の強みを一つ消し、試合の流れを引き寄せた。

体格とパワーで強豪に劣る日本は、スクラムを苦手としてきた。風向きが変わったのは2015年の前回大会。低さにこだわって南アフリカとも互角に渡り合った。現体制では長谷川慎コーチが取り組む「8人の力を漏らさない」組み方でさらに強さが増した。16本の脚が常に地面につく状態を理想とし、押し出す瞬間に8人が同じタイミングで一歩を踏み出すなど、細部を突き詰めてきた。

アイルランド戦のスクラムに、長谷川コーチは「強豪に攻める気持ちで組めるようになった」と成長を実感する。サモアは9月30日のスコットランド戦でスクラムを押される場面が目立ったが、長谷川コーチは「後半は修正しようとしていた」と警戒を緩めない。プロップ中島(神戸製鋼)は「相手のことを考え過ぎず、いつも通りに押すことが大切」と話す。今や武器となったスクラムで攻撃にリズムを作れば、日本が優位に立てるはずだ。 (中安真人)

コーチは歴戦の「番長」

長谷川慎スクラムコーチ

日本のスクラムを作り上げてきたのが、元日本代表プロップで47歳の長谷川コーチだ。中大、サントリーなどでプレーし、代表として40キャップを獲得。巧みなスクラムワークを誇り、「スクラム番長」の異名を取った。

2006年度限りで現役を引退し、サントリーのコーチなどを経て、ヤマハ発動機で指導。ヤマハ自慢の強力スクラムを築いた手腕が評価され、16年に日本代表のスクラムコーチに就任した。

現役時代、W杯に1999年、2003年と2大会連続で出場したが、1勝もできなかった。「当時は一生懸命やっていると思っていたし、実際にやっていたけど、帰ってきた時、負けたら何にも残らなかったと思った」と振り返る。W杯で勝ちたい――。その思いが、熱心な指導の原動力になっている。(矢萩雅人)

関連ニュース

<<
ニュース一覧へ戻る
>>