桜 耐えて無敗街道…再びグループリーグ首位に

 試合終了間際、日本4本目のトライを決める松島(右は福岡)=枡田直也撮影

試合終了間際、日本4本目のトライを決める松島(右は福岡)=枡田直也撮影

T(トライ)は5点、G(ゴール)は2点、PG(ペナルティーゴール)は3点

【交代】(日)堀江(パナソニック)=坂手、バル(パナソニック)=具智元、中島(神戸製鋼)=稲垣、福岡(パナソニック)=山中、田中(キヤノン)=流、ツイ(サントリー)=リーチ、ヘル(ヤマハ発動機)=ファンデルバルト、松田(パナソニック)=中村(サ)フォノティア=ナナイウィリアムズ、ピシ=トゥアラ、ニウイア=S・ラム、アロエミレ=アラアラトア、トレアフォア=ファアサレレ、Ja・レイ=Jo・レイ、カウリー=ポロタイバオ、タイレル=イオアネ

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は5日、グループリーグ(GL)A組の日本代表が勝ち点を14に伸ばし、再び首位に浮上。サモアを38―19で下して3連勝とした。サモアは敗退が決定した。日本は前半、田村のペナルティーゴール(PG)3本とラファエレのトライなどで16―9で折り返した。後半は一時4点差に迫られたが、姫野、福岡、松島がトライを奪って計4トライとし、ボーナス点1を含め、勝ち点5を獲得した。日本は、13日のGL最終戦(横浜)でスコットランドと対戦する。C組では、イングランドがアルゼンチンを下して3連勝とし、8強一番乗り。D組の豪州はウルグアイから7トライを奪って大勝した。

[フィフティーン]終盤一気 勝ち点14に

赤と白のジャージーで埋め尽くされた観客席は、悲鳴にも似た歓声が巻き起こった。終了間際、サモアが7点差以内の敗戦で得られるボーナス点を狙って、自陣ゴール前での日本の反則を受けてスクラムを選んだ。日本は押し返し、フリーキックを得た。今度は日本がスクラムを選択すると、押し込まれたサモアが反則を犯し、ペナルティーキックの好機を迎えた。

最後のワンプレー。31―19と勝利は確実だった。日本も4トライ目のボーナス点を狙いに、自信のあるスクラムを再び組んだ。大歓声を背に、一気に押す。姫野が球を持ち出し、密集から外へ。最後は松島がインゴールへ飛び込んだ。

前回大会の3勝に並んだが意味合いは違う。4年前は26―5で完勝したサモア戦も含め、勝利がやっと。ボーナス点を得られず、3勝を挙げながら、決勝トーナメントへ進めなかった。

この試合でも勝利を優先する姿勢は同じだったが、選手層の厚さがボーナス点へとつながった。前半は苦戦したものの、切り札として途中出場した福岡のトライを含め、後半だけで3トライを奪った。最後のスクラムを組んだプロップの2人も控えの中島とバル。リーチもいない中でも、スクラムの強さは健在だった。

ジョセフ・ヘッドコーチが就任し、まず取りかかったのが「W杯で戦える選手を増やすこと」だった。日本代表の候補選手だけで作るチームで海外遠征をしたりスーパーラグビーのサンウルブズに出場させたりしてトップレベルの試合を経験させた。3大会連続出場の堀江は「今は誰が出ても心配していない」とチーム力の底上げを実感する。

試合後、ロッカールームではチームソングが響き渡ったという。「ボーナス点も取れて良い雰囲気」と堀江は笑う。残すは前回大会で唯一敗れたスコットランド戦。成長を示すには、この上ない相手だ。(中安真人)

 前半、トライを決めるラファエレ

前半、トライを決めるラファエレ

ラファエレ躍動

パスで日本を勝利に導いてきた男が、自らのランで見せた。サモア出身のラファエレが3戦目にしてW杯初トライを決め、「よかった」と笑みを浮かべた。

前半27分、敵陣ゴール前でパスを受け、相手防御の隙間をついてインゴールに飛び込んだ。田村のゴールも決まって16―6とし、競り合った序盤からリードを10点に広げる価値ある活躍。1戦目のロシア戦、2戦目のアイルランド戦はいずれもパスでトライを演出していたが、自身のルーツの国からトライを奪ったことに、「気持ちがよかった。ちょっと特別」と喜んだ。

ニュージーランドで育ち、山梨学院大への留学で来日して日本国籍も取得。試合前は「家族にとって特別な試合だと思う。自分は同じように、1試合として準備したい」と平常心を強調した。だが、いざサモア国歌を聞くと、「ちょっと感情的な気持ちだった」。サモアのウォー・クライを見て、「もっと頑張りたい」と気持ちが奮い立った。

来日を決断したのは「新しい文化に触れたい。日本でラグビーをやりたい」という思いから。そして今、日本のメンバーの一員としてプレーする。「今では、いい決断をしたと思っている」と胸を張る。初のベスト8という目標達成のために、随所でまばゆい輝きを放つ存在は欠かせない。(南恭士)

前半、先制のペナルティーゴールを決める田村

松島 W杯5トライ…日本選手歴代最多

やはり、最後は松島だった。終了間際に決めたトライは、日本にボーナス点をもたらすとともに、W杯では前回大会を含め自身通算5トライ目で、日本選手の歴代最多記録となった。

後半ロスタイム、相手ゴール前で味方がスクラムを組む直前だった。「チャンスがあれば、回してほしい」と球を出す田中に声をかけていた。狙い通りにパスが来ると、目の前には相手が2人。一瞬、パスをすると見せかけて前進すると、対応が遅れた相手の間を駆け抜け、インゴールへ。「インターセプトを狙っている感じだったので、強気に自分で持ち込もうと決めていた」。会心のトライだった。

神奈川・桐蔭学園高卒業後は大学に進まず、自らが生まれた南アフリカに渡った。スーパーラグビーのシャークスの育成組織に入ると、自分よりも足が速く、うまい選手は何人もいた。その中でプロになれるのは一握りだけ。南ア行きを勧めた同高の藤原秀之監督は「プロとしてやっていく強い覚悟があり、誠実に競技と向き合える人物しか残れないことを見てきたことが、今につながっている」とみている。

これまでの日本選手のW杯での通算最多トライは、1987、91年大会で朽木英次氏(トヨタ自動車)が挙げた計4トライ。その記録を塗り替えるとともに、今大会の通算トライ数を4に伸ばし、アルゼンチン選手と並んで1位タイとなった。「この先もトライを取れればいい。それがチームの勝利にもつながる。狙っていく」。頼もしい宣言だ。(帯津智昭)

田村が18得点田村の右足から、日本の得点が何度も生まれた。先制を含むペナルティーゴール4本、トライ後のゴール3本で計18得点。「みんなが良い仕事をしてキックのチャンスを渡してくれたので、良かった」。通算40得点として、今大会の得点ランキングでトップに立つ。流れの中でのキックもさえ、後半10分過ぎには、ゴロのキックで相手防御の裏を狙って好機を演出。その後のトライにつながった。

福岡、2戦連続トライ福岡が2試合連続でトライを奪った。後半16分に出場すると、35分、敵陣ゴール前でレメキからのラストパスを受け、右サイドを駆け抜けた。試合も終盤にさしかかり、サモアにトライを返された直後だっただけに、相手の気勢をそぐトライ。「(味方が)相手の防御の足を止めてくれたので、自分は走り込むだけだった」と振り返った。

雪辱ならずサモア敗退

身体的な強さを武器に試合に臨んだサモアだったが、勝利をつかむことはできなかった。前半途中までは競った展開だったが、24分にイオアネがシンビン(10分間の一時的退出)になると、その間に日本に1トライを奪われ、試合の流れを失った。

2大会続けて日本に敗れ、敗退が決定。主将のJ・ラムは「日本は本当に強かった。全体のバランスが取れていた。15人以上と対戦しているのではないかという気持ちになった時もあった」と、日本の戦いぶりをたたえた。

サモア ジャクソン監督「我々の試合を見せて観客に感激してもらおうと思っていた。前半は頑張ったと思う。ただ、日本のチームが素晴らしかった」

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