勝利へ「ワンチーム」 観客「押せ押せ」選手鼓舞…サモア戦

 後半35分、走り込んでトライを決める福岡選手=川崎公太撮影

後半35分、走り込んでトライを決める福岡選手=川崎公太撮影

ジャパンの快進撃だ――。5日に豊田スタジアム(愛知県)で行われたラグビー・ワールドカップ(W杯)で、日本代表は追いすがるサモア代表を突き放し、開幕3連勝を飾った。「ONE TEAM(ワンチーム)」のスローガン通り、一丸となって初の決勝トーナメント進出を大きく引き寄せた。

点の奪い合いになった試合は後半、日本代表がゴール前で一体となってサモア代表を押し込むと、観客は「押せ、押せ」の大歓声。姫野和樹選手(25)がトライを奪うと、スタンドを埋めた約3万9000人は総立ちとなった。さらに、福岡堅樹(けんき)選手(27)が勝利を決定づけるトライを決めると、興奮の渦に包まれた。

新潟市から応援に訪れた稲垣啓太選手(29)の父・工(たくみ)さん(60)と母の紀子さん(59)もスタンドから声援を送った。工さんは「息子はいつも命をかけてラグビーをしていると言っている。今日の試合も同じ気持ちで戦っているはずで、親としてはヒヤヒヤとドキドキが止まらない」と話した。

田村優選手(30)の正確なキックも、優位な試合展開を作り出した。友人で、高校時代のジャージーを持って応援していた愛知県豊田市の鈴木雄登さん(30)は「昔からキックがうまかったが、大舞台でも安定して蹴るのは本当にすごい」と感心した。

終了間際には、松島幸太朗選手(26)がボーナス点が得られる4トライ目を決めた。横浜市の岡本啓さん(53)は「貪欲にトライを奪う日本代表の姿に涙が出た」と興奮した様子。大阪府豊中市の小野貴弘さん(33)は、「3連勝は日本の実力だ。次の試合にも勝ち、決勝トーナメント行きを決めてほしい」と期待した。

リーチ突進 攻撃の起点

「彼を止められれば、試合をうまく運べる」。試合前、サモアの主力選手から最も警戒されたのが、日本代表主将のリーチマイケル選手(30)。しかし、低いタックルと力強い突進はこの日も健在で、相手からボールを奪い取って初トライの起点になった。

15歳の時、ニュージーランドから札幌山の手高校に留学。身長1メートル78、体重75キロで、ラガーマンとしては細身だったが「ラグビーで成功し、親に楽をさせたい」との思いで海を渡った。

故郷の芝とは違う土のグラウンドで、膝はいつも傷だらけ。だが、泣き言は決して漏らさなかった。「あの留学生、大したことない」。対戦相手の心ない言葉に発奮し、佐藤幹夫監督(58)が止めるまでタイヤを引き、タックルを繰り返した。

グラウンド整備や部室の掃除、先輩のジャージーの洗濯も率先して行った。すぐに周囲から愛され、実家が火災に遭った際は、部員や同級生が募金活動をしてくれた。

「体育の先生」「トップリーグの選手」――。多くの夢をもって進学した東海大2年の時、その鋭いタックルを買われ、日本代表に選ばれた。

今や身長1メートル90、体重110キロの堂々たる体格となり、前回大会に続いてチームを率いる。常々、周囲に「俺は日本で多くの人にお世話になった。だから恩返しがしたい」と語る。

W杯直前、大学時代のチームメート、木津武士選手(31)(日野)に決意を語った。「4連勝で決勝トーナメントに進む」。あと1勝で、その言葉は現実になる。

 突進するリーチ選手(いずれも5日午後、豊田スタジアムで)

突進するリーチ選手(いずれも5日午後、豊田スタジアムで)

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