ボーナス点 陰に福岡…3トライ目決めて照準

 後半35分、福岡がサモア選手を振り切ってトライを決める(5日)=川崎公太撮影
後半35分、福岡がサモア選手を振り切ってトライを決める(5日)=川崎公太撮影

5日のサモア戦、ウィングの福岡(パナソニック)は、ベンチから戦況を見つめていた。勝ち点のボーナス点を目指して4トライ目を狙いに行くか、勝利に徹するべきか。控えメンバーで話し合っていた中で出番がやってきた。

姫野(トヨタ自動車)のチーム2トライ目などで26―12とリードが広がった後半16分にピッチへ。この時はまだ、ボーナス点は意識していなかったという。32分にはゴール前で自身のタックルが届かず、サモアにトライを許してしまった。

7点差に迫られ、トライよりも勝利に焦点を当てざるを得なくなった。その状況を変えたのも福岡だ。3分後、ゴール前でレメキ(ホンダ)からのパスを受けると、右タッチライン際のスペースを一瞬で切り抜け、インゴールへ。点差を12点に広げ、「試合の勝利がほぼ決まった点差になってから(ボーナス点を)狙おうと話した」という。

37分、サモアが自陣で犯した反則で日本はペナルティーゴールではなく、タッチキックからのラインアウトを選択。一気にゴール前へ迫ったモールは止められて相手スクラムとなったが、ここからのスクラム合戦を起点に松島が劇的なチーム4トライ目を挙げた。

福岡は9月6日、W杯へ向けた強化試合の南アフリカ戦で右ふくらはぎを痛めて以降、先発出場はない。一方でアイルランド戦から2試合連続トライを挙げたように、切り札として役割を果たしている。「チームに貢献できているのはうれしい。まだミスはあるので、次戦までに最高の状態にして臨みたい」。勝負のスコットランド戦。先発でも控えでも、衝撃を残す活躍を誓う。(中安真人)

[大野均の目]控え選手 要所でキラリ

日本はサモア戦で欲しかったボーナス点も獲得し、結果的には完璧だった。ただ、苦しい場面もあった。その中でも、それぞれが自分の役割を果たして勝ったことで、メンタル的にも強くなったのではないか。

控え選手の存在感も大きい。サモア戦でも、要所でいいプレーを見せてくれた。出たときに何をすべきかを全員が理解して臨んでいる。

特に田中(キヤノン)が相手にプレッシャーをかけていた。試合終盤で正確なパスを繰り出されるのは、相手にとっては嫌なものだ。防御でも貢献しており、強気のタックルは田中の特徴の一つ。体は小さいが、相手に立ち向かっていく姿勢によって、チームを精神的に前に進めている。出場はしていないが、茂野(トヨタ自動車)や徳永(東芝)もW杯前の試合を見ると実力に遜色はなく、選手層が厚くなったと感じている。

サモア戦の最後のトライは、スクラムを押し込んだことで生まれた。ここでは中島(神戸製鋼)、バル(パナソニック)が意地を見せてくれた。

海外のチームに比べて体格で劣る日本は、昔はスクラムでは後手に回るというのが潜在意識の中にあったが、今は違う。スクラムは日本の強みになった。ラインアウトも精度が高く、そこからの攻撃が計算できる。何よりスピードがいい。持ち上げる高さ、ジャンパーの技術、球の投入の正確性。全てが高いレベルにあり、自信が感じられる。

勝ち点5を取ったことで、最終戦で戦うスコットランドにプレッシャーをかけることができた。9日のロシア戦に臨む際、日本戦に向けて主力を温存したかったと思うが、これでボーナス点をしっかり取らないといけなくなった。スコットランドに勝てば、初の8強入りが決まる。周囲は勝ち点の細かい計算をするが、選手は勝つことに集中してほしい。(東芝選手、日本代表最多キャップ保持者)

田中 突破へ「平常心」

日本代表は6日、グループリーグ最終戦のスコットランド戦(13日・横浜)に向け、愛知県豊田市から東京都内に移動した。3大会連続W杯出場のスクラムハーフ田中(キヤノン)が都内で記者会見に臨み、自身やチームの状態について語った。

5日のサモア戦(愛知・豊田)は後半22分から出場。終了間際に絶妙なタイミングの球出しでウィング松島(サントリー)のチーム4トライ目につなげた。

今大会は3試合とも途中出場で、テンポの良い球さばきや絶妙なキックで攻撃に勢いを与えている。「僕が出る前に他の選手が相手を疲れさせてくれている。チーム全体の働きのおかげ」と話す。

2015年前回大会の日本代表との違いについて、「今のチームの方が、相手の力や癖を試合中に見ながら自分たちで(プレーを)判断できるようになっている」と語る。スコットランドには前回大会で10―45と完敗したが、「何かを変えると良い流れがなくなる」と、平常心で臨む姿勢を強調した。

日本ラグビー協会の藤井雄一郎・強化委員長も6日、記者会見し、サモア戦について「相手にボールを渡してしっかり走らせ、最後に勝ち点5を取るというプランだった。結果的に望んでいた通りの勝ち点を取れた」と評価。次戦に向け、「特に新しいことをするわけでなく、この3年間やってきたことをきっちりグラウンドで出せれば勝機は見える」と話した。(矢萩雅人)

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