【最速解説】3連勝を飾った日本の底力

ラグビーワールドカップで5日に日本がサモアを38-19で破った試合について、読売新聞オンラインの解説者を務めた元日本代表の大久保直弥さん(44)が日本代表の戦いぶりについて語った。

【日本が2本、サモアが1本のペナルティーゴールを入れて6-3】

日本が最初のラインアウトをしっかり確保し、連続攻撃から、ペナルティーゴール(PG)を得て先制した。最初のアタックで得点できたのは大きい。フォワードの集散は日本の方が早いから、サモアが反則を犯す。2本目のPGも、そのパターンだった。幸先いいスタートだが、ライン際を独走したレメキにはそのままトライを奪ってほしかった。あそこは抜かなきゃダメだ。その力もある選手だけに惜しかった。

【双方ペナルティーゴールを決め9-6】
15分過ぎ、心配なシーンがあった。日本がモールで20メートル以上、押された。ラインアウトの後で、モールを組んだ時の反応が遅れたのが痛かった。あれだけフォワードが後退させられるとかなり消耗するし、サモアも元気になってくる。落ち着いて攻撃を継続させたいところだが、パス回しの連係に呼吸の乱れが目立ち、ボールを失ってしまう。サモアもボールを持てば、やはり強いチームだ。楽な試合にはならない。

【日本はトライ、サモアはPGを決め16-9】
日本の待望の初トライは、ラファエレが決めた。相手がシンビン(一時退場)で1人少ない優位をうまく生かした。リーチのボール奪取から、好調の松島が内に切れ込んで抜いた時点で、トライへの道筋はついていた。それにしても、きょうのレフェリーはよく笛を吹く。攻撃側のサポートが少し遅れた場面で厳しく判定する傾向には、日本も対応しなければならない。

【前半終了 16-9】
悔やまれるのは、序盤にレメキが独走した場面がトライにつながらなかったことだ。彼が抜け切れなかったこと以上に、直後の密集で、サポートの遅れからボールを奪取された。ここで継続できて初めてジャパンの持ち味が出る。後半は、テンポの速い攻撃を継続させて、好調な松島にいい形でボールが渡る場面を何度も見せてほしい。

【日本がPG,トライとゴールを、サモアがPGを決め26-12】
日本がラインアウトからモールで押し込み、貴重なトライを奪った。決めたのは、ご当地の姫野。前半の課題を、チームでしっかりと修正した。ラインアウトの捕球位置を、奥に変えた。これは、ボールを失うリスクもある作戦なのだが、確保できた場合、その後のモールが押し込みやすくなる。もう少し突き放すと、相手はガクッとくるはずだ。

【サモアがトライとゴール、26-19】
後半20分過ぎ、日本が自陣での相手ボールのスクラムで押し勝った。交代で入ったフォワード第1列が頑張った形で、あそこから日本ペースになった。だが、あと一歩というところで攻撃が継続せず、仕留め損ねる場面が続いた。そうこうするうちに、ラインアウトからうまく攻められて1トライ返された。だが、ここからは日本の時間帯になるはずだ。

【日本がトライ 31-19】
日本のいいトライを見られた。交代で入った大外の福岡にいい形でボールが渡る、見たかった攻めの形を見られた。やはり交代でスクラムハーフに入った田中史のゲームメイクが光った。ウベもいいボール奪取を見せているし、交代で入った選手の活躍が日本に勢いを生んだ。最後にもう1本を!

後半、松島が日本4本目のトライを決める=枡田直也撮影

【試合終了直前に日本にトライとゴール 38-19】
終了のホーンが鳴ってから4分以上。最後の最後に、日本が、ボーナス勝ち点のつく「4本目のトライ」を決めた。松島にいい形でボールを渡すパターンが、最後に出た。田中史の、相手陣22メートルライン内に攻め込んだところでのゲームメイクは、やはりセンス抜群だ。このトライは、スクラムで圧倒的優位に立っていたから、決まった1本でもある。代わって入ったウベの重量感が、スクラムに力を与えたのが大きかった。

【試合終了 38-19】
38-19と、最後は点差が開いた。だが、いい勝負だった。これぞワールドカップと思わせる、重苦しい展開。これはサモアの健闘によるところが大きい。最後まで動きがそれほど落ちなかったし、個々の強さは脅威だった。サモアのプライドを感じた。試合後、両チームの選手が一緒にスタンドに手を振る姿には、ラグビー文化の美しさをみる思いだ。

今のジャパンは、攻撃のバランスがいい。きょうサモアから決めたトライは、ボール奪取から快足バックスが外のスペースを突くパターンあり、フォワードがモールで押し込むパターンありと、多彩だった。これだと、相手は防御の的を絞りづらい。細かい修正点はあるゲームだったが、まずは好結果を喜んでいい。たくましいチームになった。

交代で入った選手が、ことごとく活躍したのも好材料だ。後半にインパクトのある選手を投入して攻勢をかけるのが、ジョセフヘッドコーチのゲームプランだったのだろう。采配のさえを感じるし、何よりも選手層の厚さが心強い。スコットランド戦も、おそらく60分間は接戦で、その後に勝負という展開になる。きょうのような勝ち方で、ベスト8をつかんでほしい。

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