日本ラグビー史上最大の決戦「執念で勝て!」サンウルブズHCがエール

ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会のグループリーグA組最終戦、日本-スコットランドは13日午後7時45分から、横浜国際総合競技場で行われる。悲願の8強進出をかけた決戦に臨むジャパンに、読売新聞オンラインで試合を解説するサンウルブズの大久保直弥ヘッドコーチ(44)が、エールを送った。(聞き手=読売新聞オンライン・込山駿)

スコットランド戦のメンバーを記者会見で発表する日本のジョセフHC(10月11日)

腹の据わったジャパン、横浜で再び歓喜を

日本ラグビー史上最大の決戦だ。

1987年の第1回W杯から、ジャパンは長く世界の壁にはね返され続けてきた。私も現役時代、99年と2003年の両W杯で一度も勝てず、苦闘の中に身を置いた。そんな歴史を、勝てば塗り替えることができる。地元開催のW杯で、日本でラグビーをプレーする子どもたちに夢を見せられる。自分たちの手で。ラガーメンにとって、これ以上ない舞台が、選手たちを待っている。

ここまで来たら、もう戦術うんぬんではない。決戦で問われるもの。それは、勝利への執念にほかならない。腹の底から、そう思う。

サンウルブズのコーチを務めたこの2シーズン、今大会のジャパンのメンバーほとんどと、スーパーラグビーという南半球の最高峰リーグで私は苦楽を共にした。メンバーがめまぐるしく入れ替わり、戦術を練られない中で1季目は3勝13敗、2季目は2勝14敗と残念な成績に終わった。だが、ハイレベルな攻防に計100人以上を出場させることになり、選手たちはたくましくなった。

決戦を前に縮こまったり、弱気になったりする人間は、今の日本代表には一人もいないと断言できる。今週、サンウルブズのミーティングがあり、日本代表のスタッフを兼務する2人と会って話をすることができた。詳しい内容は差し控えるが、腹の据わった態度を頼もしく感じた。ライバルが大勝しても、チームは動揺していないし、勝ち点で優位に立つからといって、受け身になったり気が緩んだりする者もいない。

会場の横浜国際総合競技場は、2002年のサッカーW杯で日本がW杯初勝利をつかみ、決勝トーナメント初進出への道筋をつけたスタジアムだと聞いた。同じフットボールの祭典。13日は歓喜の歴史が再び刻まれ、ラグビーという競技の未来も切り開かれると、私は信じる。

挑戦者スピリット、手ごわいスコットランド

スコットランドの選手層は厚い。9日は控え組主体で、ロシアに圧勝した

スコットランドは手ごわい。日本が打ち破ったアイルランドに、今大会初戦で3-27とノートライで完敗した頃とは、全く別のチームになっていると考えるべきだ。

サモアとロシアを相手に無失点でトライを量産した2、3戦目では、相手の出方を見て戦うような消極的な姿勢が消え、前方のスペースを意識して縦に強く走り込むという意思統一が感じられた。すでに「W杯常連の伝統国」ではなく「挑戦者」のスピリットに変わっているのだろう。

特に、9日のロシア戦で9トライを奪った若手選手たちのパフォーマンスを、日本戦に備えてメンバーを外れた主力のレイドロー(スクラムハーフ)、ラッセル(スタンドオフ)、ホッグ(フルバック)らは、意気に感じているはずだ。日本との勝ち点4差を覆そうと、きっと開始早々から、がんがん攻めたててくる。

流、田村、田中史…日本ハーフ団の仕切りに注目

日本としては、立ち上がりでひるまず、真っ向から立ち向かうことだ。そこを乗り越え、後半勝負に持ち込みたい。最後の20分間に攻めのテンポを上げられるほどスタミナのあるチームは、今大会、日本しかいないのだから。

流の球出しが、勝負のカギを握りそう(10月5日のサモア戦で)

日本の背番号9番のスクラムハーフと10番のスタンドオフに入る選手、つまりゲームメイクを仕切る「ハーフ団」の2人に注目したい。先発は、これまで3試合と同じく9番が流で、10番が田村。きびきびした動きと巧みなキックが持ち味の流が、後半途中から戦術眼に優れた田中史に交代する起用法も、今大会は奏功している。田村のキックも、試合ごとに調子が上がってきた。

結束力抜群のフォワードと、エースの福岡が先発復帰した快足バックスの力を生かし切るには、ハーフ団のハイテンポなパス出しとゲームコントロールが不可欠になる。そして、相手のスコットランドはおそらく、ハーフ団にプレッシャーをかけてミスを誘い、日本の攻めを分断しようとしてくる。日本の9、10番が、アイルランドを破った試合と同じように、強豪から圧力を受けても落ち着いて攻撃を組み立てられれば、勝機は膨らむ。

台風の影響で、強風の中での試合になるようなら、キック処理やラインアウトが明暗を分ける展開も考えられる。キック処理に定評のあるトゥポウの先発復帰は好材料だし、フォワード陣は風の影響を受けにくい近距離に強いボールを投げるラインアウトをしっかり準備しているはずだ。天候条件は相手も同じ。対応力でもスコットランドを上回ってほしい。

最後に、試合が無事に開催されることを心から祈っている。

《解説者プロフィル》

大久保直弥さん

大久保直弥(おおくぼ・なおや) 南半球の最高峰リーグ戦「スーパーラグビー」に、代表候補選手らを集めて日本から参戦している「サンウルブズ」で2018、19年シーズンにコーチを務めた。参戦最終シーズンとなる20年はヘッドコーチ(HC)に昇格して迎える。トップリーグ・サントリーの監督も経験、12年度はリーグ戦と日本選手権の二冠に導いた。現役時代のポジションはロックかフランカー。日本代表キャップ23を誇り、W杯2大会に出場した。1975年9月27日、神奈川県出身。身長1メートル88。

日本のスコットランド戦メンバー

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