連鎖パス 桜満開…4連勝 首位通過

 ※ウェールズは後半に認定トライ=7点=1を含む。

※ウェールズは後半に認定トライ=7点=1を含む。

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会はグループリーグ最終日の13日、A組の日本がスコットランドを28―21で破った。4戦全勝で勝ち点を19に伸ばし、首位で初の決勝トーナメントに進んだ。8強が出そろい、日本は20日の準々決勝(東京)でB組2位の南アフリカと対戦する。日本がスコットランドを倒すのは1989年以来、30年ぶりで、通算対戦成績は2勝10敗。D組ではウェールズがウルグアイに快勝し、首位で突破。C組ではトンガが米国を下し、初勝利を挙げた。岩手・釜石で予定されていたB組のナミビア―カナダは台風19号の影響で中止となった。

「オフロードパス」駆使 4トライ

 前半25分、トゥポウ〈15〉からパスを受けた稲垣(右)がトライを決める=伊藤紘二撮影

前半25分、トゥポウ〈15〉からパスを受けた稲垣(右)がトライを決める=伊藤紘二撮影

試合終了の合図が鳴り、山中がグラウンドの外にボールを蹴り出すと、スタジアムは地鳴りのような歓声に包まれた。優勝候補のアイルランドに続き、闘志むき出しでぶつかってきた欧州の強豪を撃破して初の決勝トーナメント進出を決めた。堀江は「8強入りは2015(年大会)が終わってから常に思い続けたこと。達成できて良かった」と喜びをかみしめた。

フォワードのパワーとバックスの展開力を兼ね備える相手に、日本はキックをなるべく使わず、テンポ良く球をつないで相手を揺さぶる戦い方を選択した。秀逸だったのが、前半25分に奪ったチーム2トライ目だ。堀江、ムーア、トゥポウとつなぎ、球を受けた稲垣がゴールポスト下に飛び込んだ。いずれも、タックルを受けながらパスをつなぐ「オフロードパス」で前に進んだ。

前回大会以降、「ティア1」と呼ばれる世界のトップ10の国・地域との対戦や、スーパーラグビーの日本チーム、サンウルブズで南半球の強豪との試合を通じ、選手たちは世界レベルと戦う経験を積んだ。さらに、ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は、長期合宿で体力や基礎技術を徹底的に強化。オフロードパスも含めたパス技術も、この3年間で積み上げてきた成果だ。

就任当初、強化方針などで選手とぶつかる時もあった指揮官は「自分たちのプレーを信じること、諦めないことを、選手たちは実行できた。信頼している」。司令塔の田村は「自分たちの一番強いものでぶつかった。選手の能力が高いので、状況に合わせ、どんなプランにも対応できる」と、高めたチーム力に胸を張った。

南アフリカ戦の金星を含む3勝を挙げながら敗退した15年の呪縛は解かれた。「桜の戦士」たちは、新しい歴史を作った。(矢萩雅人)

猛攻耐えきった

 後半、タックルするリーチ(中央)とトンプソン(左から2人目)

後半、タックルするリーチ(中央)とトンプソン(左から2人目)

終盤のスコットランドの猛攻に対し、日本のタックルが次々と突き刺さった。7点リードの後半30分頃には、中島と姫野が2人がかりで「ダブルタックル」。前に出ながら相手を止め、さらにボールを奪って攻撃に転じ、テンポ良く回した。

「とにかくチームに勢いがあった。球を奪い返して、さらに勢いがついた。ここが重要だった」。主将のリーチが振り返ったように、粘り強い防御が、スコットランドをはね返した要因だった。タックル数はチーム最年長、38歳のトンプソンが最多の16回。14回のラブスカフニ、12回のリーチと続く。「優しい気持ちは必要ない」と燃えていたリーチは何度も相手を止めてチームを助けた。

防御について、リーダー役を務める中村は「長い間、準備してきたから、最後の一番しんどい時に我慢できた。苦しい時にチームに貢献したいし、みんなも同じ思いを持っている」と語った。これまでの日本は、良い戦いをしても終盤に逆転されることも多かった。それを払拭(ふっしょく)するような勝利に、中村は言った。「このチームには計り知れないものがある」(帯津智昭)

稲垣が代表初トライ

稲垣がチームに勢いをもたらした。7―7で迎えた前半25分、パスを受けてインゴールに飛び込んだ。「代表に7年間いて、1回もない」という男の記念すべき初トライで、仲間もファンも大いに沸いた。「ボールをうまくつなぎ、最終的に僕のところにきただけ」と謙虚に振り返ったが、日本が得意とする連続攻撃から生まれたトライに満足げだった。

堀江 「ベスト8取ったら、どんな景色やろって思っていたけど、4年前と一緒で、まだまだ成長できるなって思った。また新しい目標ができた」

姫野 「(先制されても)チームに焦りはなかった。積み上げてきたもので自信をもって戦えたことが、立ち直れた要因」

流 「これ以上の応援は過去にもなく、ラグビー人生で最高の日だった。しっかり準備して、もう一度チームで歴史を変えることを意識したい」

バル 「スクラムでは反則をしないよう、いいポジションを取ることに集中した。今の日本は、ホームの重圧をエネルギーに変えている」

日本・ジョセフHC 「特別な瞬間。選手は体を張ってくれた。経験値でスコットランドに劣る中で、選手たちは最高のプレーをした」

スコットランド敗退

スコットランドは追い上げも及ばず、2011年大会以来2度目のグループリーグ敗退となった。後半にフォワードが2トライ。しかし、要所でミスが相次ぎ、突破役として期待されたフルバックのホッグも本来の力を発揮できなかった。前回大会の日本戦で20得点をマークしたレイドローは「日本は4年前より進歩した。素晴らしかったと認めないといけない」と語った。

スコットランド タウンゼンド監督 「こちらのミスを日本は得点につなげてきた。高い志を持ってやってきたが、負けて残念だ」

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