日本8強 「世界で戦う」結実…福岡「プレーに自信」

 決勝トーナメントの南アフリカ戦に向けて調整する田村(手前左)ら日本代表の選手たち=泉祥平撮影
決勝トーナメントの南アフリカ戦に向けて調整する田村(手前左)ら日本代表の選手たち=泉祥平撮影

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会で初めて8強入りした日本代表は15日、準々決勝(20日・東京)の南アフリカ戦に向けた練習を東京都内で始め、筋力トレーニングなどで汗を流した。南アフリカとは2015年の前回大会初戦で対戦し、歴史的金星を挙げた。今大会開幕前の9月6日の強化試合では7―41で完敗した。強豪スコットランドを28―21で倒した試合から一夜明けた14日には、主将のリーチ(東芝)が横浜市内で記者会見し、「チームは怖いくらい強くなっている」と語った。

 スコットランド戦で日本は磨いてきたパス技術を生かしてトライを重ね、後半は尽きない体力で防御ラインを整え、相手の猛攻を耐え切った。「プランを遂行できれば、どんな相手であろうと勝機はあると思っていた」と稲垣(パナソニック)。その言葉通り、グループリーグではアイルランドも含め、強豪との対戦にも気後れするところはなかった。

自信は一朝一夕に生まれたわけではなかった。1995年のW杯でニュージーランドに17―145という屈辱的大敗を喫した日本は、前回大会で誇りを取り戻した。91年大会の白星を最後に苦闘が続いていた中で「8強」という目標を掲げ、過酷な練習と入念な準備で南アフリカ戦を含む3勝を挙げた。

大会後、リーチ(東芝)は「8強に入るためには厳しさをどうつなげるか」と口にした。明確な目標を掲げてハードワークをし、自分たちを信じれば世界で戦える。当時の経験を新しく代表に加わった若い選手に伝え、当時を超える練習量をこなして自信を深めていった。初出場の中村(サントリー)は「15年がなければアイルランド戦の勝利もなかった」と振り返る。

日本ラグビーの集大成で歴史の扉を開いた。福岡(パナソニック)は「4年前に世界で戦える文化が根付き、今回の自信を持ったプレーにつながっている」と話す。誰一人経験したことのない決勝トーナメントの舞台にも、臆する選手はいない。(中安真人)

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日本は13日のグループリーグA組最終戦でスコットランドを破り、4連勝の1位で史上初の決勝トーナメント進出を決めた。大一番を制した勝因は、会心の試合運びと新たな武器にあった。

攻撃は最大の防御――。日本はスコットランドにボールを渡さず、徹底的に攻め続けることに勝機を見いだした。データスタジアム社の集計によると、ボール保持率(ポゼッション)は日本52%、スコットランド48%と大差はなかった。ただ、日本が3トライを奪った前半は66%と大きく上回り、10分ごとに区切ると、80%を超える時間帯もあった。

分厚い壁にキリで穴を開けるような攻撃は、豊富な運動量も求められる。「最初の20分はポゼッションを上げようとした。前半はタフになると思っていた」と稲垣。ボールを大きく動かして相手を振り回し、好機をつくり出した。

仕留めるための武器が、密集を作らずタックルを受けながらつなぐ「オフロードパス」だった。日本はこのパスを7本成功させ、そのうち4本が得点に直結。前半17分の松島のトライは、福岡が難しい体勢から左手でオフロードを通して生まれた。同25分には、堀江、ムーア、トゥポウが連続でオフロードをつなぎ、稲垣がインゴールに飛び込んだ。

スコットランドは密集でボールを奪う「ブレイクダウンジャッカル」を5回も成功させた。そのうち4回は自陣でマークしており、日本が攻め込みながらも激しい防御に苦しんでいたことを示す。オフロードは成功すれば効果的な攻撃になるが、パスの出し手と受け手の意思疎通がなければ防御の餌食になるリスクもある。日本はスコットランドの厳しいタックルを受けながらも紙一重の局面でオフロードを通すことでトライを重ねた。ジョセフ・ヘッドコーチ体制で磨きをかけてきた高度な技が威力を発揮した。(今井恵太)

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