決戦は平尾さん命日 日本「恩返し」誓う

 スコットランド戦で、ボールを持って突進する山中(13日)=伊藤紘二撮影
スコットランド戦で、ボールを持って突進する山中(13日)=伊藤紘二撮影

日本が初めて挑む決勝トーナメントの初戦、南アフリカ戦(東京)は、元日本代表監督の平尾誠二さんの命日でもある。3年前の10月20日、平尾さんは胆管細胞がんのため、53歳でこの世を去った。W杯に選手として3度出場した平尾さんでもたどり着けなかった舞台に臨む選手らは、平尾さんに思いをはせ、大一番に向けて気持ちを高めている。(中安真人)

フルバック山中(神戸製鋼)は平尾さんを恩人と慕う一人だ。2011年にひげを生やすために育毛剤を誤って塗り、ドーピング違反で2年間の資格停止処分を受けた。神戸製鋼のゼネラルマネジャー兼総監督だった平尾さんは、プロ選手だった山中を社員として残すよう尽力した。今大会、山中は全4試合に出場。「よく頑張ってるなと言ってくれると思う」としのんだ。

今の代表には平尾さんが1999年W杯日本代表の監督だった際、選手だった面々もいる。ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は平尾さんから口説かれて日本代表入りを決めた。長谷川スクラムコーチはプロップとして平尾ジャパンを支えた。

当時、代表のコーチだった土田雅人・日本協会理事は、平尾さんと同志社大の同期だ。命日に日本がW杯の準々決勝を戦うことに「偶然なのか、必然なのか」とつぶやく。2015年の前回大会後、平尾さんとともにジョーンズ前HCの後任を選び、日本をよく知るジョセフHCを抜てき。長谷川コーチの起用も2人の案だという。

リーダー陣が成長して主体性を持つ今の代表を、土田理事は2人が描いた理想に近いと感じる。「平尾が生きていたら本当にうれしいだろうな。きっと勝ってくれるでしょう」。日本のラグビー界を支え続けた「ミスターラグビー」に、吉報を届けたい。

日本代表は16日、準々決勝の南アフリカ戦に向け、東京都内で練習した。公開された冒頭15分ではフォワードが筋力トレーニングで調整。その後は全体練習で攻守の連係を確認したという。

「中堅国」で突破 日本だけ

グループリーグ

W杯日本大会はグループリーグを終え、19日に8強による決勝トーナメントが始まる。日本以外は、伝統的な強豪国・地域が属する「ティア1」のチームとなった。

中堅国の「ティア2」がティア1を破る番狂わせを起こしたのは、日本だけだ。世界ランキング1位で大会に入ったアイルランドに初めて勝利し、南アフリカを破った前回大会に続く金星で世界を驚かせた。初の8強入りを決めたスコットランド戦の勝利について、W杯を主催する国際統括団体ワールドラグビーは「日本に比類ない感動を届けた」(ボーモント会長)と称賛した。個人でも、48得点の田村(キヤノン)が得点ランキング単独1位、5トライの松島(サントリー)がトライ数で1位タイ、4トライの福岡(パナソニック)が3位タイと結果を出した。

史上初の3連覇がかかるニュージーランド、2度目の頂点を狙うイングランド、初優勝を目指す今年の欧州6か国対抗覇者のウェールズはいずれも負けなしで突破。前評判通りの強さを見せており、優勝争いの軸となる。

台風19号の影響で、10月12、13日の計3試合が中止となった。W杯の試合が行われなかったのは初めてで、第4戦の中止によって敗退が決まったイタリアからは恨み節が漏れた。2試合のうちの1試合が中止となったのが、岩手・釜石
鵜住居(うのすまい)
復興スタジアム。東日本大震災で津波被害を受けた小中学校跡地に立つ、大会唯一の新設会場で行われたのは9月25日の1試合だけとなったが、ウルグアイが格上のフィジーを破った熱戦は、被災地を沸かせた。(帯津智昭)

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