イングランド会心 開始1分 急襲トライ…決勝進出

 前半1分、先制トライを決めるイングランドのツイランギ(左下)=鈴木毅彦撮影
前半1分、先制トライを決めるイングランドのツイランギ(左下)=鈴木毅彦撮影
 T(トライ)は5点、G(ゴール)は2点、PG(ペナルティーゴール)は3点
T(トライ)は5点、G(ゴール)は2点、PG(ペナルティーゴール)は3点

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は26日、準決勝の1試合が横浜国際総合競技場で行われ、2003年大会優勝のイングランドが、3連覇を狙ったニュージーランド(NZ)を19―7で破り、2度目の優勝に王手をかけた。通算対戦成績はイングランドの8勝1分け33敗で、W杯では4度目の対戦で初勝利。準決勝の残り1試合は27日、南アフリカとウェールズが対戦する。

ハカを踊るオールブラックスを、イングランドの選手たちは「V字」の陣形でにらみ返した

大一番の開始直前、イングランドが勝利への強い意志を示した。NZ伝統の踊り「ハカ」の隊列に対し、選手がV字に並んだ。ハーフウェーラインを越え、審判に制止されても耳を貸さない。「ただ立つだけで終わりたくなかった」と主将のファレル。2連覇中の王者をのみ込まんばかりに、眼光鋭く向かい合った。

その気迫は、いきなりスコアに反映される。開始早々、ボールを左右に大きく動かして前進し、ゴール前のラックからツイランギが持ち出してインゴールに飛び込んだ。開始わずか1分39秒。電光石火の攻撃で、先制パンチを見舞った。

前半はボールを保持し、後半は陣地を稼ぐキックで相手を背走させて主導権を渡さなかった。思い通りの試合運びを実現させたのが、伝統の防御だった。エディー・ジョーンズ監督はこう振り返る。「W杯はいつも防御が鍵で、我々にとって防御こそ最大の攻撃だ」

後半、敵陣深くにボールを蹴り込むと、アンダーヒルが相手をあおむけに倒してボールを奪い返した。このプレーをきっかけに相手の反則を誘い、ペナルティーゴールで加点。ボール争奪の肉弾戦で優位に立ち、出足の鋭い飛び出しで相手のパスコースを巧みに消す。王者は、鉄壁の「白い壁」を前に攻め手を失った。

前回大会では、開催国として初めてグループリーグで敗退するという屈辱にまみれた。「歴史をまだ築いていない。来週はもっといい試合ができる」とジョーンズ監督。名将に率いられてプライドを取り戻したラグビーの「母国」。2003年大会以来遠ざかる頂点が手の届く位置に来た。(今井恵太)

■イトジェ 激しく先導
イングランドはイトジェの存在感が際立った。ラインアウトでは相手ボールを奪い取り、密集では激しいプレーでボールに絡むなど、防御で強みを発揮。攻撃でも何度も力強い走りを見せ、決勝へと駒を進めたチームを引っ張った。試合で最も活躍した選手に選ばれたイトジェは、「チームメートに感謝している」と喜んだ。

細部徹底 エディー流

笑みを浮かべるエディー・ジョーンズ監督(10月26日、横浜国際総合競技場で)

日本代表をヘッドコーチとして率いたジョーンズ氏の口癖は「ジュンビ」だった。4年前、選手に南アフリカの国歌を聞かせるなど、徹底した準備で番狂わせを起こした。

強豪のイングランドを指揮する今も、変わらない。グループリーグの組み合わせが決まった一昨年春の時点で準決勝でNZと対戦することを見通し、2年半を準備にあてた。キックを捕球した相手へのプレッシャーのかけ方など細部にこだわり、「選手は無意識の中にいつもこの試合のことが頭の中にあり、いい結果につながった」と胸を張った。

練習では、サッカーのイングランドの名門マンチェスター・ユナイテッドで黄金期を築いたファーガソン元監督を招いた。勝者の精神を注入する意図があり、日本代表時代にも他競技から積極的に学ぶ姿勢があった。変わらぬ「エディー流」で、頂点への道を歩んでいる。(中安真人)

NZ3連覇逃す

 イングランドに敗れ、残念な表情を見せるB・バレット(中央)ら
イングランドに敗れ、残念な表情を見せるB・バレット(中央)ら

王者NZは球を持っても、なかなか前に進めなかった。逆にイングランドの前に出てくる鋭いタックルで押し戻される場面が何度もあった。ハンセン監督は「残念だ。全力を尽くしたが負けた。受け止めるしかない」と振り返った。

前半は無得点に抑えられ、後半に入っても先に得点を許した。それでも敵陣深くまで攻めた後半16分、相手ボールのラインアウトのミスを突いて、球をキャッチしたサベアがトライを決めた。ただ、相手の圧力を受けてミスや反則を繰り返し、流れを変えられなかった。

試合終了となり、史上初の3連覇の夢がついえた瞬間、主将のリードはぼう然とした表情で立ち尽くした。「自分たちに何が欠けていたのか、今は言うのは難しい。ただ、これからも前進していく」とリード。W杯での黒星は、2007年大会の準々決勝以来。今大会をもって退任することが決まっているハンセン監督は「苦しいが、スポーツでは時には起きることだ。まだ試合はある。前向きに終わりたい」と気丈に振る舞った。(帯津智昭)

NZ・ハンセン監督
「イングランドにおめでとうと伝えたい。本当に素晴らしいチームだ。何の後悔もない。自分たちよりも良いチームに負けたと思っている」

きょう南ア VS ウェールズ

FW戦自信

南アフリカは26日、東京都内で約1時間、調整した。公開された冒頭の約15分間では、終始リラックスした表情で体を動かした。主将のコリシは「一生懸命、準備してきた」と試合を心待ちにしている様子。勝敗を分けるポイントとしてフォワード戦を挙げ、「スクラムやラインアウトが重要。そうした戦いで我々が勝つことができると思う」と自信を見せた。

準備は万全

ウェールズは26日、東京都内で調整。バックスは攻守の連係などを確認した。前回4強に進んだ2011年大会にも出場しているウィングのノースは「今回の方が良い感覚がある。素晴らしい準備が出来ている」。南アフリカは体の強さを前面に出してくることが予想される。「一つ一つのプレーが重要になる。80分間集中して戦い、勝ちたい」と意気込んだ。

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