桜の躍進、市場も弾む…ジャージー「完売」ビール24%増

11月2日に横浜国際総合競技場で行われるイングランド―南アフリカの決勝で、44日間の大会に幕を下ろすラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会。開催国の日本代表が初めて決勝トーナメントに進んだ効果もあり、国内のラグビー関連市場はかつてないほどのにぎわいを見せている。

日本の躍進を象徴する「桜のジャージー」の人気が沸騰している。「カンタベリー」ブランドの公式ジャージーを製造販売するゴールドウイン(東京都渋谷区)によると、これまで日本代表ジャージーのレプリカの売り上げは年間1000枚程度だったが、今年は20万枚を既に出荷済みで、完売に近い状態という。

W杯用にデザインされた新ジャージーは、9月20日の開幕戦で日本がロシアに勝ってから売り上げが急増。今月13日の日本―スコットランド戦の頃には、全国的に売り切れ店が続出した。W杯観戦を目的とした外国人観光客が土産に買うケースも目立つという。

同社は日本の8強入りを記念し、1000枚限定で公式試合用ジャージーを売り出したが、1着5万円(税別)と高額にもかかわらず、予約サイトが一時ダウンするほどの反響があった。担当者は「予想を大きく超えたブームになっている」と驚く。

ビール好きで知られるW杯ファンの特需を見込んでいたビール業界も好調だ。

大会公式スポンサー「ハイネケン」のビールを国内で製造販売するキリンホールディングス(東京都中野区)によると、同社の9月のビール類販売量は、前年同月比24%の増加だった。国内ビール市場(大手5社、発泡酒など含む)は2005年から14年連続で縮小し、18年は499万キロ・リットルと10年で約8割に減ったが、担当者は「消費増税前の駆け込み需要とともに、ラグビーW杯の影響も少なくないのでは」と分析する。

同社が111店舗ある英国風パブ「HUB(ハブ)」に出荷しているハイネケンなど3ブランドのハブ店内での販売量は、開幕から10月中旬までの期間で前年比3倍に上った。ハブの売上高は3~8月の上期は前年比マイナスだったが、9月は26.6%増と、W杯効果が如実に表れた。

このほか、日本代表スポンサーの大正製薬(東京都豊島区)は、日本代表選手が印刷された栄養ドリンク「リポビタンD」10本とタオルなどが入った「日本代表応援パック」(税別1460円)を9月に発売したところ、小売店などで品薄状態に。日本ラグビー協会とスポンサー契約を結ぶカルビー(東京都千代田区)は、8月下旬から日本代表選手のカードが2枚付いた「ラグビー日本代表チップス」(想定価格税込み100円前後)を限定販売したが、今月中旬の販売終了を待たずに完売した。

NZ人気 ブランド高める…アディダス

 今大会出場20チームが着用したジャージーのブランド別内訳を見ると、日本代表を含む最多の7チームがニュージーランド(NZ)発祥のカンタベリー社。ところが、NZ代表「オールブラックス」は、今大会唯一のアディダス製だった。

「ラグビーの売り上げは(サッカーなどに比べ)限定的だが、総合的なブランド構築の一環として、NZと協力する価値がある」。アディダス日本法人のトーマス・サイラー副社長は、3度のW杯制覇を誇るオールブラックスのブランド力が、世界最高のスポーツブランドを目指す同社にふさわしいと強調する。

アジア初開催のW杯である今大会は、同社にとっても日本やアジアのラグビー市場開拓のチャンスだ。日本開催を念頭に、ジャージーのデザイナーに山本耀司氏を起用。販売枚数は非公表だが、「日本では完売間近」(サイラー氏)と、一定の成果はあったようだ。

同社は来年の東京五輪で実施される7人制のNZ代表スポンサーでもある。今大会で浸透させた「ラグビーのアディダス」のイメージを五輪でさらに広げたい考えだ。(畔川吉永)

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