ブームを止めるな…次はオリンピック、7人制ラグビーを解説

日本代表の大活躍で盛り上がったラグビーワールドカップ(W杯)も、1日の3位決定戦ニュージーランド対ウェールズ、2日の決勝、イングランド対南アフリカを残すのみになりました。今大会はそれまでラグビーを知らなかった「にわかファン」もルールを覚え、魅力を知りました。ラグビーの次のビッグイベントは来年の東京オリンピックですが、W杯と違い7人ずつで戦います。ますます注目が集まっている7人制ラグビーについて、知っておきたい基本的なルールなどを紹介します。(河合良昭)

■フィールドの広さは15人制と同じ

7人制のルール

ボールの大きさ、フィールドの広さ、ゴールの大きさは15人制と同じ。「ボールを前に投げてはいけない」「ボールを持っていて、倒されたらすぐ放す」といった基本的なルールもほとんど同じです。トライが5点、ペナルティーゴールが3点、トライ後のゴールが2点も変わりません。

■7人=フォワード3人+バックス4人

15人制と7人制のポジションの比較

試合時間は、15人制が前後半各40分に対し、7人制は各7分(決勝戦では10分ハーフも)。ハーフタイムは2分以内(15人制は15分以内)。ポジション構成は15人制ではフォワード(FW)が8人、バックス(BK)が7人ですが、7人制はFW3人とBK4人。「スクラム」は両チームFWの3人ずつ(15人制は8人ずつ)になります。

選手の交代枠は15人制が8人であるのに対して、7人制は5人です。

ペナルティーゴールやトライ後のゴールなどのキックは、グラウンドにボールをキックティーなどで固定して蹴る「プレースキック」はではなく、ボールをワンバウンドさせてから蹴る「ドロップキック」で行われます。プレースキックよりも成功率は下がります。

■7人制の特徴…スピーディーな展開

リオ五輪、準決勝フィジー戦から

明治大学やサントリーでスクラムハーフとして活躍し、15人制と7人制の両方で日本代表経験のある明治大学ラグビー部監督の田中澄憲(きよのり)さんは、「同じラグビーであってもプレースタイルは全然違う」といいます。

田中さんは「7人制は時間稼ぎをする行為が厳しく反則を取られる。15人制に比べてスペースがあるので、そこを使い、パスして走る攻撃が多くなり、FWの密集戦でボールを運ぶことは少ない。プレーの中断が少なく、体力の消耗が激しい。試合もあっという間に終わるという感覚」といいます。また守備面では、「人数が少ないので、15人制のようにすぐに抜かれても味方がフォローしてくれることが少ない。抜かれればそのまま失点につながる。しっかりとタックルを決めることも選手に求められる」と言います。

7人制は1試合の時間は短いのですが、五輪などの大会では1日に2試合ということもあります。田中さんは「試合後にストレッチや食事、冷水の風呂に入るなどして、次の試合までにどこまで体力を回復させられるかも重要」と指摘しています。

■東京オリンピックに向け「7人制専任選手」を強化

7人制は2016年のリオデジャネイロ大会でオリンピックの正式種目となり、東京五輪でも男女の7人制が行われます。日本はリオ五輪では1次リーグ初戦でニュージーランドを破る金星を挙げ、3位決定戦で敗れましたが4位とメダルまであと一歩でした。「サクラセブンズ」の愛称を持つ女子は12チーム中10位だったものの、歴史的な1勝を挙げるなど貴重な経験を積みました。

日本には7人制ラグビー専門のリーグはありません。現在、日本ラグビー協会では、15人制の選手の中から7人制に専念してもらう選手を増やしたり、強化選手を集めて合宿を行い、海外チームと対戦したりして、強化を図っています。

■福岡、レメキ…15人制からの参加も

リオ五輪、フィジー戦でタックルをかわして突進する福岡選手

今回のラグビーW杯に出場した選手の中では、ウイングの福岡堅樹選手、センターのレメキロマノラバ選手が東京オリンピックの7人制出場を目指すと表明しています。この他にも7人制に適性があるのはどんな選手なのでしょうか。

7人制の場合、FWといっても今回のW杯で活躍した稲垣啓太選手や堀江翔太選手といったプロップ、フッカーなどスクラムの最前列の選手がプレーすることはほとんどありません。7人制はFWであってもスクラムで押し負けない力より、走力が求められます。このため15人制ではバックスのセンターやウイングの選手が務めることが多くなっています。

とはいえ、現在7人制の日本代表候補として強化対象になっている選手を見ると、15人制でフランカーやナンバー8でFWを務めた経験者もいます。同じポジションのリーチマイケル選手、姫野和樹選手なども7人制で適応できるのか田中さんに聞きました。

田中さんは「15人制のFWは、スクラムで押されないように、筋力を鍛えるだけでなく体重も増やしている。しかし7人制では体が重いのは走る上でマイナスになる。名前を挙げていた選手も潜在能力は申し分ない。ただ、東京五輪までに7人制用の体に作りなおし、戦えるようにするのは簡単ではない」と指摘します。

一方、「バックスであればスピードのある松島幸太朗選手、当たりも強くオフロードパス(タックルを受けた状態でのパス)の上手なラファエレティモシー選手などは活躍できるのではないか」と分析します。

東京オリンピックの7人制ラグビーは、W杯で日本の初戦ロシア戦と準々決勝の南アフリカ戦が行われた東京スタジアム(東京都調布市)で行われます。再びスタジアムがあの興奮に包まれるのか、注目です。

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