南ア 究極スクラム~「フィジカル」でイングランド封じ込め


前半、スクラムでイングランドを押す南アの選手たち=冨田大介撮影

前半、スクラムでイングランドを押す南アの選手たち=冨田大介撮影

後半17分、ペナルティーゴールを決める南アのポラード

後半17分、ペナルティーゴールを決める南アのポラード

T(トライ)は5点、G(ゴール)は2点、PG(ペナルティーゴール)は3点

T(トライ)は5点、G(ゴール)は2点、PG(ペナルティーゴール)は3点

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は2日の決勝で、南アフリカがイングランドを退けて3度目の頂点に立った。前回大会3位の南アフリカは、グループリーグでニュージーランド(NZ)に敗れてB組2位通過となったが、そのNZを準決勝で破ったイングランドを圧倒。大会で黒星を喫したチームの優勝は初めてとなった。

反則誘いPG連発

 南アフリカのパワーが頂点への道を切り開いた。攻撃でも防御でもセットプレーでも、持ち味のフィジカルでイングランドをねじ伏せた。

先制のペナルティーゴール(PG)は前半9分に生まれた。敵陣深くで相手ボールのスクラムを押し、密集で球に絡んで相手の反則を誘った。その後も、スクラムで何度も押し込むなど反則を誘い、PGを積み重ねる。ゴール直前で約4分も攻め込まれた場面では強烈なタックルを続け、最後までトライを許さなかった。

フィジカルを生かしたラグビーこそ、南アのプライドだ。それが文化であり、歴史であり、スタイルである。ニュージーランドのような素早いパス回しの華麗さではなく、攻撃でも防御でも体をぶつけることに、強いこだわりがある。

アパルトヘイト(人種隔離政策)撤廃後、初出場で優勝した1995年W杯に象徴されるように、南ア国民にとってラグビーは特別なものだ。だが近年、結果が出ず、期待を裏切る時期もあった。昨年3月にエラスムス監督が就任し、状況が好転した。指揮官は最初のミーティングで、ラグビーの重要さを説いたという。南ア初の黒人主将となったコリシは「考え方が変わった。何があってもハードワークすること、何ができるかを見失わないことが大事だと学んだ」と振り返る。

エラスムス監督は「国のためにもトロフィーを取るために来た。うれしいし、誇りに思う」と胸を張った。自信と誇りを取り戻し、たどり着いた頂点だった。(南恭士)

南アフリカ・エラスムス監督 「国ではいろいろなことがあるが、ラグビーを見て幸福をもたらせるようにやってきた」

「母国」ノートライで幕


優勝を逃し、がっかりした表情を見せるイングランドの選手たち

優勝を逃し、がっかりした表情を見せるイングランドの選手たち

地元開催の前回大会でグループリーグ敗退の屈辱にまみれたイングランド。初の外国人指揮官として再建を託されたジョーンズ監督に率いられ、「母国」としての誇りを取り戻したが、覇権奪回はかなわなかった。

南アフリカの圧力は想像以上だった。相手とぶつかり合う接点で差し込まれ、大会を通じて安定感があったラインアウトは要所で乱れた。試合を優位に進める武器だったキックも、今までにはないミスが見られた。「反則もして、プレッシャーを感じてしまった」と主将のファレルは悔やんだ。後半、ボールを動かして前進を図ったが、何度もノックオンでボールを失い、今大会6試合目で初めてトライを奪えなかった。

アルゼンチン、豪州、ニュージーランドと南半球4か国対抗の強豪を破ってきた。戦術的な幅の広さと総合力の高さが際立っていただけに、南アの有無を言わせない力強さに屈したショックは大きかったのだろう。「選手は素晴らしいプレーをした。でも、ラグビーはこんなもの。なぜ負けたのかわからない」とジョーンズ監督。表彰台から降りると、現実を振り払うかのように準優勝のメダルを首から外した。(今井恵太)

イングランド・ファレル 「前半に勢いを与えてしまった。後半は少し違ったが、南アは明らかに輝いていた」

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