ラグビーボール「ギルバート」売り上げ好調

2日に閉幕したラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会。日本代表の活躍とともにファンの脳裏に深く刻まれたのが、「GILBERT」(ギルバート)のロゴが書かれた楕円球だろう。ミニボールなど関連商品の売り上げも好調で、チケット販売などとともに大会の興行的成功の象徴と言えそうだ。(畔川吉永、帯津智昭)

英ギルバート社は、1995年からW杯の公式球サプライヤーを務めるほか、2016年リオデジャネイロ五輪の7人制や、南半球最高峰の「スーパーラグビー」でも公式球として採用されている老舗メーカー。1823年に英ラグビー校のエリス少年がボールを抱えて走ったのが競技の発祥との説もあるが、この時、同社創業者のウィリアム・ギルバートが同校にボールを提供していたという。

W杯公式球は4年に1度の大会のたび、素材や表面の形状などに最新技術を取り入れる一方、デザイン面でも開催国の特徴を生かしている。11年大会の「ヴァーツオ」はニュージーランドの先住民族をイメージし、今大会の「シリウス」も、富士山や屏風絵などで、日本らしさを表現した。

国内でギルバート製品を販売する「スズキスポーツ」(東京都渋谷区)によると、公式球(税別1万6600円)やレプリカ(同4200円)のほか、長さ約16センチのミニボール(同1400円)、キーリング(同500円)などは9月から売り上げが伸び、W杯開幕後はほとんどが売り切れとなった。従来、ラグビーは個々の選手が「マイボール」を買って使用する習慣がなかったが、国旗をデザインしたフラッグボール(同3500円)など、記念になる商品を展開したこともヒットにつながった。

日本が南アフリカを破った15年大会でも、金星の直後から売れ行きが急増したが、「今回は想像以上」とスズキスポーツの鈴木次男社長。企業から数千個単位の注文もあり、実数は非公表ながら、「15年大会の10倍以上」(鈴木社長)の売り上げを記録したという。

ナイキやアディダスなど世界的企業のブランドと資金力が市場を支配するサッカーと異なり、ラグビーは専門メーカーが多く、まだまだ国内でのギルバートの知名度は低い。鈴木社長は「今回のW杯で『ラグビーボール=ギルバート』の印象が深まれば」と、ビジネスの拡大に期待を込める。

国産「セプター」商機狙う

「ラグビー人気の高まりを、自分たちのチャンスにしたい」。ラグビー用品メーカー「セプター」(東京都新宿区)の望月鉄也社長の口調に熱がこもる。W杯開幕後、同社に小学生向けボールの問い合わせが急増。直営店や卸先で品切れになっているという。

同社は1921年創業。64年東京五輪でサッカーの公式球に採用されるなど、戦後しばらくは他競技のボールも製造していたが、サッカーは海外の大手メーカーが圧倒的に強く、ラグビーボールが主力になった。現在、関東大学対抗戦はギルバート、リーグ戦はセプターを採用するなど、海外メーカーと共存している。

土のグラウンドが多い国内事情を踏まえ、表面に土が付いても手になじみやすく、すり減りにくいなどの工夫を施し、海外メーカーに対抗している。「国産ならではの強みをアピールできれば」と望月社長。商機を生かせるか。

関東大学リーグ戦ではセプターの球が使われている(3日の東海大―日大戦で)

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