[大会総括]<3>おもてなし 心つかんだ~海外選手 お辞儀で感謝


準々決勝でアイルランドに勝利し、観客席のファンに一礼するニュージーランドの選手たち(10月19日、東京スタジアムで)=杉本昌大撮影

準々決勝でアイルランドに勝利し、観客席のファンに一礼するニュージーランドの選手たち(10月19日、東京スタジアムで)=杉本昌大撮影

「南アフリカの国歌を歌いましょう」。ラグビー・ワールドカップ(W杯)決勝直前の横浜国際総合競技場で、ミュージシャンの村田匠さん(32)が日本のファンに向かって声を張り上げた。周囲にいた南アからの観戦客も加わり、大合唱となった。

元日本代表主将の広瀬俊朗さん(38)が発起人となった活動「スクラムユニゾン」の一環。決勝では両チームの「国歌」の歌詞を横浜市が2万部印刷して配布するなど、自治体も支援した。中心メンバーとして各地を回った村田さんは「歌うとみんな楽しくなり、すごい盛り上がりになった」と語る。埼玉・熊谷ラグビー場の3試合では、地元の約1万4000人の全小中学生を熊谷市が招待。子どもたちは事前に練習した出場チームの国歌をスタンドで歌った。

各地のスタジアムは、海外から来た選手やファンを歓迎する雰囲気に包まれた。日本のファンが外国チームのレプリカジャージーを着て応援する姿も見られた。

そうした歓迎に対し、選手たちは試合後、日本式のお辞儀をして応えた。南アのエラスムス監督は「日本のファンは相手チームに対しても敬意を払ってくれる」と振り返る。イングランド主将のファレルが「ここで楽しんだことは忘れられない。素晴らしい大会だった。また戻ってきたい」と決勝後の記者会見で話したのをはじめ、多くの選手、監督がツイッターなどでおもてなしへの感謝をつづり、世界に向けて発信した。

国際統括団体ワールドラグビーが掲げる「ラグビー憲章」で示される「品位」「情熱」「結束」「規律」「尊重」という五つの中心的な価値や、試合が終われば敵、味方がなくなる「ノーサイド」の精神が、グラウンドで体現された場面も繰り返された。9月28日の日本代表戦では、敗れたアイルランドが花道を作り、その間に日本選手を通して拍手で祝福し、続いて日本も相手の健闘をたたえた。準決勝でイングランドに敗れて3連覇を逃したニュージーランドのハンセン監督も、「試合が終わったらイングランドのコーチと一緒にビールを飲んだ」と明かした。

大会組織委員会の御手洗冨士夫会長は「勝負が終わればノーサイドで友好を深めていく。ラグビーの精神に対する理解が日本でも広がり、ファンになった人もたくさんいる」と総括した。

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