「ファイト一発」桜の支え~「代表ボトル」品切れに

日本代表が初の8強入りを果たしたラグビー・ワールドカップ(W杯)は、低迷期から日本代表を支えたスポンサーや、W杯を機にラグビー界に参入した企業にとっても、大きな効果をもたらす大会となった。(畔川吉永、帯津智昭)

W杯期間中、大正製薬(東京都豊島区)が開いた特設サイトやツイッターには、日本代表への応援メッセージとともに、長く代表を支えてきた同社への感謝の声があふれた。

同社が日本代表のスポンサーになったのは2001年。1995年W杯南アフリカ大会でニュージーランドに17―145の屈辱的な大敗を喫し、99年、2003年大会も全敗と、暗黒時代と呼べる低迷期だった。

にもかかわらず同社がサポートに乗り出したのは、1980年代に上原明・現会長が出張先のロンドンで住友銀行(現三井住友銀行)行員だった元日本代表監督の故・宿沢広朗氏と出会ったのが縁だった。そこから親交が生まれ、2000年度に日本協会強化委員長に就任した宿沢氏が上原氏に支援を依頼したという。

同社の看板商品は、CMの決めぜりふ「ファイト・一発!」でおなじみのドリンク剤「リポビタンD」。この商品の「努力・友情・勝利」というテーマが、「『ワン・フォー・オール、オール・フォー・ワン』というラグビーの精神に近かった点も大きかった」と、梅岡久マーケティング本部長は述懐する。

その後は、強化試合や海外遠征、7人制代表などに支援を拡大。それらが実を結び、日本代表は15年大会で南アフリカを破る大金星を含む3勝と躍進した。同社はこの時、選手・スタッフ全50人に1人100万円の報奨金を贈った。

今大会では、公式スポンサーとしてW杯の熱狂を自社製品のPRにつなげた。開幕前にはリポビタンDの広告を車体に貼った「日本代表応援タクシー」を走らせ、会場周辺や空港などでは試飲を実施。日本代表選手が印刷されたボトルは、CMとの相乗効果で品切れ状態になった。

ドリンク剤市場では長年、高い占有率を誇るリポビタンDだが、「レッドブル」など海外発のエナジードリンクとの競争が激化し、兄弟商品を含むリポビタンシリーズ全体の売り上げは01年3月期の1031億円をピークに19年同期は520億円とほぼ半減している。日本代表の躍進に後押しされ、リポビタンDも再び上昇気流に乗れるか。

「丸の内ラグビー神社」大盛況…三菱地所

「各選手が役割を果たしながらチームを動かすラグビーのイメージが、街づくりと重なる」との考えから、昨年4月にW杯公式スポンサーとなったのが、三菱地所(東京都千代田区)だ。全国で展開する商業施設などでラグビーの魅力を発信するイベントを開幕前から開き、盛り上げに一役買った。

同社が再開発を手がける東京・丸の内地区では、「丸の内15丁目プロジェクト」と銘打ち、特に力を入れた。リーチマイケル像など撮影スポットを設置し、飲食店での限定メニューやスタンプラリーを実施。東京駅前の丸ビルの敷地内に建立した「丸の内ラグビー神社」ではラグビーボール形の絵馬(300円)1000枚が売り切れ、追加で2000枚を発注した。

丸ビルには大型ビジョンを設置し、全試合でパブリックビューイングを開催。日本戦は早朝から行列ができ、毎回約1500人でフロアが埋め尽くされた。

普段はビジネスマンが行き交うオフィス街が、大会中は赤白のジャージー姿のファンであふれ、同社は「予想以上の盛り上がりだった。店舗の売り上げなどは今後精査していくが、集客に効果があったと感じている」としている。

<<
ニュース一覧へ戻る
>>