[大会総括]<4>台風中止「間違ってない」

台風19号が本州に近づいていた10月10日、ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会を主催する国際統括団体ワールドラグビー(WR)と大会組織委員会は、12日に予定されていたグループリーグ(GL)2試合の中止を発表した。9回目を迎えたW杯で初の事態。WRのアラン・ギルピンW杯統括責任者は「安全を第一に考え、全チームにとって試合が公平に行われるか検討した」と説明した。

台風19号の影響で、試合の中止を発表する大会関係者ら(10月10日)=伊藤紘二撮影

代替地案 公平性保てず

WRと組織委は、日本の台風シーズンに開かれる大会に備え、開幕の約1年前から災害時の対応策を検討。日程への影響を考慮し、GL期間中に試合開催が不可能と判断された場合は試合を中止し、引き分け扱いにすると決めていた。

しかし、組織委は台風の影響が大きいとみられた12日の横浜と愛知・豊田の2試合を中心に、順延や代替地開催の可能性を模索した。組織委の鶴田友晴事務総長代理は「やはり試合をやった方が良いという意見があり、開催する方法がないか議論した」と振り返る。

シミュレーションを重ね、大分を代替地とする案も挙がったが、WRの臨時理事会は基本方針を貫いた。鶴田事務総長代理は「試合会場、宿泊先や練習場の確保だけでなく、選手とスタッフで約50人いる各チームの移動など、全試合、全チームの状況を平等にするのは非常に難しかった」と話す。13日の岩手・釜石での試合も、公共交通機関の乱れや土砂災害の恐れがあるとして当日早朝に中止が決まった。

一方、日本代表が8強入りを決めた同日のスコットランド戦(横浜)は、予定通り実施されることが午前中に発表された。組織委の職員らが早朝から横浜国際総合競技場の被害状況をチェック。1階駐車場にたまった水や泥を取り除き、強風に備えて取り外していたゴールポストや広告などを急ピッチで設置。午後7時45分のキックオフにこぎ着けた。

中止によってイタリアの敗退が決まるなど、大会成績に影響が出た。海外メディアを中心にWRなどの対応に疑問の声も上がったが、鶴田事務総長代理は言い切る。「W杯での災害対応は今後議論になるかもしれないが、我々は間違った判断をしたとは思っていない」

来年の東京五輪・パラリンピックが、台風や水害などに見舞われない保証はない。2020年大会組織委は、国際統括団体や各チームとの協議、中止決定の経緯などを参考にするため、W杯組織委から聞き取りをする意向だ。

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