[大会総括]<5>選手が交流 地域で差~チーム事情優先

東京・府中駅前を日本代表のレプリカジャージーを着たファンら約1万5000人が埋め尽くした。ワールドカップ(W杯)決勝を控えた2日昼、リーチ(東芝)ら府中市に本拠地を置くチームに所属する日本代表選手による報告会。同市の高野律雄市長は誇らしげに語った。「この1か月半の間、たくさんのラグビー関係者が府中に来てくれた。うれしい毎日だった」

府中はイングランド、フランスの公認キャンプ地となり、決勝トーナメント出場チームの練習拠点にも選ばれた。フランスは9月22日に市中心部でのイベントに参加。イングランドの10月1日の公開練習は約600人のファンが訪れ、練習後に選手らがサインや写真撮影に応じた。決勝前日には、ジョーンズ監督らが地元の高校生を指導した。市の担当者は「お願いしていたことが全てできたわけではないが、両チームと市民が接点を持つことができ、大成功だった」と喜ぶ。

公認キャンプ地には90自治体、76か所が応募し、組織委やチームの視察を経て、最終的に61自治体、55か所が選出された。ただ、チームとの交流はどこの自治体でもできたわけではない。

アルゼンチンの公認キャンプ地となった福島県は、練習器具の購入費用などに今年度当初予算で約5600万円を計上。しかし、希望した交流イベントはできず、公開練習も前日に決まったこともあり、十分な周知ができなかった。県の担当者は「もっと組織委員会とコミュニケーションを取れば良かった」と悔やむ。

組織委が自治体向けに2016年に開いた説明会では、交流について「チームのコンディション等が最優先されるため、必ずしも自治体の希望に沿えるとは限りません」との資料が示された。嶋津昭事務総長は「選手ファーストという観点から、強制はできない。チームが努力して交流を深めてくれた結果、地域によって差が出た」と話し、府中市も「交流できたのは、チームの判断としか言えない」と、自治体の努力にも限界があるとの見解を示す。

福島県で住民とほとんど交流しなかったアルゼンチンも、大阪府東大阪市では中学校を訪問し、生徒と一緒にけん玉などで遊んだ。東大阪市の担当者は「要望していた日程に、練習などの都合がうまく合ったのでは」と振り返る。あくまでチームの事情が優先されたため、自治体によって明暗が分かれる結果となった。

市民との交流イベントでサインの求めに応じるイングランドのエディー・ジョーンズ監督(手前右)(10月1日、東京都府中市で)

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