[大会総括]<6>運営 五輪の参考に~問題対応やボランティア育成

ラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は、国内で開催されたスポーツイベントとしては、2002年サッカーW杯以来の大規模な大会だった。日本代表の躍進に伴って国民が高い関心を示す一方、来年に迫った東京五輪・パラリンピック大会の組織委員会や警察当局も、「プレ大会」として注視していた。

20年東京大会の組織委からW杯組織委に職員が出向き、時には幹部がW杯の打ち合わせにも同席した。開幕直後、試合会場の売店で食べ物の売り切れが相次ぐと、ルールを変更して食べ物の持ち込みを認めた。10月には、台風19号のため3試合の中止を決定した。会場からわき上がるこうした課題に優先順位をつけて対応する様子などが参考になったといい、五輪・パラリンピック組織委の中村英正・大会開催統括は「災害時の関係機関との連携や周知法などを来年に生かしたい」と話す。

また、警視庁はテロや雑踏事故などを防ぐため、東京スタジアムから最寄り駅までの区間で、最新の防犯カメラシステムを運用した。東京大会へ向け、「W杯での運用状況を詳しく分析し、改善点などがあれば見直していく」(警視庁幹部)という。

準決勝の南アフリカ―ウェールズ戦終了後、会場の外で観客と手を合わせるボランティアら(10月27日、横浜国際総合競技場で)

東京大会の組織委にとって、W杯を通じて日本の魅力を発信する機会になったことも発見だったという。その一つが「大会の顔」ともいわれるボランティアだ。期間中は駅から会場まで並んでハイタッチをしながら来場者を迎えたり、会場近くにある中心市街地の駅で英語で道案内をしたり。約1万3000人が、日本の「おもてなし文化」を海外へ発信した。

W杯と東京大会の双方の会場がある横浜市の大庭伸仁オリンピック・パラリンピック推進課長は、横浜国際総合競技場でボランティアが記念写真用のフレームを持ちながら外国人客に撮影を持ちかける様子などを見て、「ボランティア自身が楽しんでいる」と感じた。同市のW杯担当課からボランティアの育成や運用のノウハウを引き継ぎ、来年へ生かすつもりだ。

W杯組織委の神野幹也ボランティアマネジャーは「我々のいいところは使っていただき、うまくいかなかった部分も参考にしてほしい」と期待する。東京会場でボランティアを経験した約2400人のうち、希望者は来夏もボランティアとして活動することができる。「W杯組」が、20年東京大会でも重要な役割を果たしそうだ。(おわり)

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