日本でここだけ? ラグビー散歩~聖地・花園周辺で

「ラグビー散歩」を楽しめる町並みは、日本でここだけかもしれない。ワールドカップ(W杯)日本大会の開催地の一つで、全国高校大会の行われる競技場としても知られる東大阪市花園ラグビー場の周辺には、ラグビーにまつわるモノや景観が盛りだくさん――。(読売新聞メディア局編集部・込山駿、写真も)

正面入り口前にW杯のパネルが設置された東大阪市花園ラグビー場

吉田春日神社の木製ラグビーボールに、参拝客がタッチ

ラガーメン御用達の神社、願いかなえる木製ボール

W杯を1年後に控え、大型ビジョンとナイター照明が新設されるなど「日本ラグビーの聖地」の呼び名に恥じない観戦環境が整った花園ラグビー場から、西へ歩いて7~8分。吉田春日神社は、住宅地の中にたたずむ。

ここは、通称「ラグビー神社」だ。全国高校大会のある年末年始には、出場チームが続々とやって来て、本殿脇にある「ラグビーモニュメント」を使って必勝祈願をしていくという。モニュメントの説明書きによると、ラグビーのゴールポストにも鳥居にも似た金属製のオブジェをくぐって、木製ラグビーボールにタッチしてから参拝すると、願いごとがかなうそうだ。木製ボールは、本物より三回りほど大きく、長軸がちょうど1メートルある。

記者が訪れた10月27日は花園で改修後の初戦(日本代表―世界選抜)があった翌日で、決して広くない境内はひっそりとしていた。それでも、神奈川県川崎市から大阪出張のついでに初めて足を運んだという40歳の会社員男性が、神妙な表情で「ラグビー参拝」にトライしていた。「神社巡りが趣味なので、手を合わせに来てみた。テレビ番組で見た通りのユニークな境内で、木製ボールは思ったより大きかった。ラグビーはよく知らないけど、せっかくだから新しいラグビー場にも、この後で足を運んでみたい」と、ほほ笑んだ。

くぐり、触って、参拝すると、願いがかなうというラグビーモニュメント一式

楕円球の看板、その正体は…

ラグビー場の最寄り駅は、近鉄奈良線の「東花園」だ。電車を降りると、ホームの駅名看板の向こうに、早くも白い楕円球が見える。黒字で「HANAZONO RUGBY BRANCH」。建物の玄関まで行ってみたところ、地元農協の看板だと分かった。その名も「花園ラグビー支店」。ラグビーへの思いが、ひしひしと伝わってくる。

ホームから見える白いラグビーボール

東花園駅の構内。手前と奥の柱の上部に、赤青2色の近鉄ライナーズのペナントが見える

駅構内には、花園を本拠地とするトップチャレンジリーグ・近鉄ライナーズのペナントが、あちこちに飾ってある。駅の外壁には、銀色の大きなラグビーボール。2015年までラグビー場の管理運営を長く担ってきた近鉄は「東大阪市のスタジアムになった今も、周辺のまちづくりや交通の充実などで、我々にできる仕事はある」(広報部)と、花園への愛着をにじませる。駅前のロータリーにも、市のマスコット「トライくん」の像が立ち、歩道の柵にはラガーメンをあしらった飾りがあった。

(右から)トライくんの大きな像、駅外壁の銀色ラグビーボール、歩道の柵の飾り

スクラムロードでラグビー探し

東花園駅とラグビー場の正面を徒歩約10分で結ぶ一本道は、「スクラムロード花園」という名前だ。銘菓「花ラグ饅頭」を売る和菓子店やラグビー用品店が軒を並べ、全ての街灯にW杯のペナントが下がり、路面のそこかしこにラグビーの絵がある。ラグビーに関するものがいくつ見つかるか、探しながら歩いてみた。

和菓子絹屋のショーケースに並ぶ「花ラグ饅頭」

「スクラムロード花園」と、道路の駅側起点に明記されている

マンホールのフタ

消火栓のフタ

W杯のペナントなどがついた街灯

ラグビー用品店「プロショップRyu」

街路樹周りの路面

10分も歩けば、スタジアムに着く

沿道のラグビー用品店「プロショップRyu 大阪府・花園店」店長の西村友子さん(58)は言う。「ここ2、3年で道路がきれいに整備され、ラグビーの絵や飾りがあちこちにできて、お客さんや道行く人から『ラグビーの街らしくて、テンション上がるわ』って言われるようになってきた。何よりもスタジアムの改修工事がやっと終わって立派になったし、ここからグッと、W杯に向けて盛り上がってくるといいなと思う」。日本のラグビー熱が高まるにつれ、どんどん活気づいていく――。そんなかいわいに見える。

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