観光通じ「愛国教育」

片岡航希撮影 
読売新聞オンライン
制作・著作 読売新聞

 中国で革命の史跡をたどる「紅色旅遊(赤い観光旅行)」が盛況だ。7月に迎える中国共産党創設100年の節目を前に、習近平政権は愛国主義教育の高揚を狙って宣伝に一層力を入れている。
 革命史跡の他、震災被災地などでも、党による統治の正統性をアピールする「愛国・愛党」の傾向が強まる。
(写真と文 片岡航希)
2021年6月8日公開

紅軍(中国軍の前身)の軍服を身にまとい、貴州省遵義の革命史跡を訪れた人たち。1935年、毛沢東が共産党内での指導権を確立する端緒となったとされる「遵義会議」が開かれた場所として知られる(4月20日、貴州省遵義で)

江西省井岡山で、紅軍服で写真撮影を楽しむ団体客。1927年に毛沢東が部隊を率いて武装闘争の根拠地を築いた「革命聖地」として知られる(4月21日、江西省井岡山で)

貴州省遵義の革命史跡でポーズを取る男の子。親が子に紅軍服を着させて楽しむ場面も多く見られた(4月20日、貴州省遵義で)

紅軍服を着用して江西省井岡山の革命博物館を訪れた人たち。全国各地の「紅色観光地」を訪れた観光客数は、04年の延べ約1億4000万人から、19年にはほぼ10倍に増えた。だが、地元ガイドによると、大半は政府機関や国有企業などの研修目的の団体という(4月22日、江西省井岡山で)

団体客を乗せて行き交う大型バス。人口約17万人の小さな町に、連日大勢の客がやってくる(4月21日、江西省井岡山で)

革命史跡を訪れた団体客の多くが、毛沢東の似顔絵が描かれたそろいのバッグを携えていた(4月20日、貴州省遵義で)

江西省南昌市の革命史跡で行われる紅軍服の貸し出し。20元(340円)ほどでレンタルすることができ、自撮りをする年配客や、子どもに着させて写真撮影を楽しむ親子連れらでにぎわっていた(4月23日、江西省南昌で)

江西省南昌の革命史跡の入り口で、子どもに紅軍服を着させる母親(4月23日、江西省南昌で)

紅軍服を着用している人の多くは、コスプレを楽しんでいるように見えた(4月20日、貴州省遵義で)

深い峰が連なる江西省井岡山の街並み。当時の共産党の「農村から都市を包囲する」戦略もあり、根拠地は都市から離れた農村部や山間部に多い。紅色旅遊は、そうした地域の経済振興も目的に提唱された(4月22日、江西省井岡山で)

江西省井岡山の街中に設置されている毛沢東像と、共産党創設100年を祝う看板(4月21日、江西省井岡山で)

買い物客で混雑する「井岡山革命博物館」の土産物コーナー。毛沢東の像や肖像画などが多数売られていた(4月22日、江西省井岡山で)

江西省井岡山の毛沢東旧居「八角楼」を訪れた人たち。ベッドや机が展示されている(4月22日、江西省井岡山で)

江西省井岡山の野外劇場で行われた劇。革命の第一歩となる根拠地を築いた歴史を描いたもので、約600人の演者が闇夜の舞台で跳びはね、盛んに党をたたえていた(4月21日、江西省井岡山で)

約8万7000人の死者・行方不明者を出した2008年5月の四川大地震。震源地・汶川県映秀は、「震災遺跡」を売りにした観光地に整備され、18年に習近平国家主席の指示により「全国愛国主義教育模範基地」に指定された。被災地でも、党が復興で果たした役割をアピールする傾向が強まる(5月16日、四川省汶川県映秀で)

倒壊して55人が犠牲になった四川省汶川県映秀の中学校跡地を見学する人たち。倒壊した校舎は「震災遺跡」として保存され、地震発生時刻を指す時計の彫刻が設置されていた。敷地内には、救助活動で党が果たした「功績」を記した巨大な石碑もあった(5月16日)

震災遺跡の中学校跡地前で営業する土産物屋(5月16日、四川省汶川県映秀で)

存在しなかったかのように上書きされた震災跡地もある。児童約300人が亡くなり、被災地の手抜き工事疑惑を巡る責任追及運動の焦点だった四川省都江堰の新建小学校跡地は、「パンダ小路」という商業地区に姿を変えていた。追悼の碑すらなく、鎮魂とは無縁のパンダの人形があった(5月16日、四川省都江堰で)

台湾の金門島(奥)が見える福建省アモイの海岸で、潮干狩りなどを楽しむ観光客(5月23日、福建省アモイで)

台湾海峡に面する福建省アモイの海岸沿いにある「一国両制統一中国」の巨大看板。「一国二制度」を台湾にも適用し、平和的に統一することをアピールするために、20年以上前に設置されたという(5月23日、福建省アモイで)

海岸は潮干狩りを楽しむ観光客らでにぎわうが、時の経過とともに樹木で覆われ、看板の文字が読みづらくなっていた(5月23日、福建省アモイで)

夜はライトアップされる「一国両制統一中国」の巨大看板。樹木で覆われて読みづらくなっている(5月23日、福建省アモイで)

【撮影】中国総局・片岡航希
  読売新聞オンライン
Copyright (C) The Yomiuri Shimbun.
今回取り上げた写真の一部は、「よみうり報知写真館」で購入できます