箱根駅伝5区(20・8キロ)は、小田原中継所から標高874メートルの最高点まで約16キロの坂道を駆け上がり、終盤は芦ノ湖への4・5キロを下るという見どころ満載のコースだ。現在の距離になってからの区間最高記録は96回大会(2020年)、宮下隼人選手(東洋大)の1時間10分25秒。幾多のドラマを生んだ往路のハイライト「天下の険」をランナー目線を交えてたどる。
(右写真)小田原中継所前。往路は左側、復路は右側の道路外のスペースでタスキリレーが行われる。小田原名物と言えば、お城に蒲鉾(かまぼこ)……
中継所から3キロ、箱根湯本駅(奥)に向かって緩やかな上り。険しい山道を前に選手が覚悟を決めるあたりか。
出場大学名の幟(のぼり)も見える箱根湯本駅前の商店街を過ぎると、いよいよ本格的な上りが始まる。
函嶺洞門(かんれいどうもん)前を通過。2014年にう回路が整備されて通行禁止になり、91回大会から、バイパスを走るコースに変更された。(写真は95回大会)
7キロ過ぎ。大平台のヘアピンカーブ。急な上りで経験者いわく、「もも上げ」のような走りになる。絶景を眺める余裕はあるか……。
9キロ過ぎ。いったん緩やかになる宮ノ下の温泉街。この後、急な上りが待ち受ける。
宮ノ下から小涌谷へと向かう急な坂道。ランナーにとっては「壁に見えるほど」の難所だ。歩くだけでもつらい。
宮ノ下の温泉街を左折すると、区間屈指の急坂が選手を苦しめる。日本陸上競技連盟公認の長距離競走路では、スタートとフィニッシュの2点間の標高差は1000分の1以内(1キロあたり1メートルを超えてはならない)と決められていることを考えれば、20キロ余りで800メートルの標高差がある箱根駅伝の5区がいかに過酷であるかがわかる。
コースほぼ中間点の小涌谷踏切。かつてはランナーが足止めされる光景も見られたが、現在は状況を見ながら鉄道職員の誘導で電車が一時停止して選手を優先通過させてくれることになっている。
小涌谷の踏切周辺は2019年10月の台風19号による土砂崩れ被害が大きかった。懸命の復旧工事により、2020年7月に、約9か月ぶりに全線で運転が再開された。
11・8キロの小涌園前。選手は左に大きくカーブをきって走っていく。
15・6キロの東芦の湯バス停付近。長い坂を上ってきて前方が開ける。ここからいったん下り、再び上ったところが最高点だ。
874メートルの国道1号線最高点。ここから芦ノ湖のゴールまで約4キロを一気に下る。
国道1号線最高点を過ぎて、坂を下っていくと、前方に芦ノ湖が見えてくる。
芦ノ湖畔に出て、箱根神社の第一鳥居をくぐる。現在の鳥居は1993年に建て替えられた。
旧街道杉並木、関所跡を通過し、前方の交差点を右折すれば往路ゴールだ。
歓喜の往路優勝ゴール!(前回の96回大会)
過酷な20・8キロを走り切った選手たちを、雄大な芦ノ湖が迎えてくれる。晴れていればこんな景色も。
「山の神」と言われた選手たち。左から神野大地選手(青学大)、今井正人選手(順天堂大)、柏原竜二選手(東洋大)
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