東京2020パラリンピック

パラ 私が支える

読売新聞オンライン
制作・著作 読売新聞
 「いつもと同じ。これで安心して本番を迎えられます」。東 京パラリンピック開幕を目前に控え、義足の着け心地を確かめ たトライアスロン代表の谷真海選手(39)から笑みがこぼれ た。  本番前の最終調整を終えた3種類の義足を作ったのは、義肢 装具士の臼井二美男さん(65)だ。2000年のシドニー大 会から、多くのパラリンピアンに義足を提供してきた。今大会 も、谷選手だけでなく、陸上走り幅跳びの高桑早生選手ら十数 人をサポートする。  各選手の切断の状況や競技性だけでなく、性格やライフスタ イルまで考え抜いて作る。「着けているのを忘れるような血の 通った義足」が常に目標だ。  谷選手は、04年のアテネから走り幅跳びで3大会連続出場 し、結婚、出産を経て、16年にトライアスロンに転向した。 東京大会招致にも深く関わり、日本選手団の旗手も務める。  臼井さんとは、骨肉腫で右下肢を切断した学生時代に出会っ た。以来、競技生活を支え続けてもらった。妊娠中も、足のむ くみや体重の変化に合わせて義足を調整してくれた。「人生の 大事な時期にいつも力になってくれる。かけがえのない人」と 感謝する。  カーボンファイバー製の板バネのついた義足で力強く駆ける 谷選手。その姿にやさしいまなざしを向けていた臼井さんは言 う。「パラリンピックで人間の体の偉大さを知った。パラアス リートの活躍する姿は社会を変える力があると信じている」  新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京パラリンピ ックが明日24日、開幕する。国際大会の中止や練習場所の制 限など数々の逆境に直面し、多くの人の支えを受けながら乗り 越えてきた選手たちが、人間の限界を追って躍動する。

トライアスロン出場前に、義肢装具士の臼井二美男さん(左)とラン(長距離)用義足の最終調整を行う谷真海選手(18日、東京都荒川区で)=泉祥平撮影

トライアスロンに出場する谷真海選手(右)の義足の最終調整を行う臼井二美男さん。1人で三つの種目に出るため、競技ではラン用(左)、バイク用(中央)、日常用(右)の3種類の義足を交換する。「支えてくれた家族や臼井さんへの感謝を込めてゴールを迎えたい」(18日、東京都荒川区で)=泉祥平撮影

陸上競技に出場する伊藤智也選手と共同で、車いすレーサーを開発した工業デザイナーの杉原行里(あんり)さん(39)。選手の体の動き、バランスを徹底的にデータ化し、1ミリ単位で車体を調整した。「パラスポーツで培った技術を医療や福祉分野で応用していきたい」と語る(17日、埼玉県寄居町で)=泉祥平撮影

兵庫県尼崎市で行われたパラリンピック聖火イベントでピアニストの池田佳ず実(かずみ)さん(44)は、「オリンピックファンファーレ」などを演奏した。競泳で東京大会出場を目指し、パラ予選会出場に必要な標準記録を突破。しかし、コロナ禍も重なり障害クラスを認定する試合に参加できず、出場がかなわなかった。「選手を応援する気持ちを込めた」と話した(15日)=川崎公太撮影

スポーツサングラスなどを手がける山本光学はパラ競泳用のブラックゴーグルやゴールボール用のアイシェードを開発。いずれもを光を全く通さない特殊なレンズを使用されており、競泳では視覚障害の最も重いクラスが、ゴールボールでは全選手が着用を義務づけられている(19日、東京都文京区で)=泉祥平撮影

東京都新宿区の「ふれる博物館」では視覚障害者が展示物を実際に触って東京五輪・パラリンピックを体験できる企画展を開催している。聖火リレーのトーチや国立競技場の模型、またパラリンピックマラソンの地図を展示した(20日)=菅野靖撮影

「ふれる博物館」では国立競技場の模型に触れることができる(20日)=菅野靖撮影

「ふれる博物館」で展示されたパラリンピックマラソンの地図(20日)=菅野靖撮影

卓球のチリ代表選手団の事前合宿会場で、応援メッセージを書き込む人たち。選手の一人は「充実した設備の中、温かいもてなしを受け最高の準備が出来た。交流が限られ残念だが、いつか友達になって一緒にスポーツの素晴らしさを味わいたい」と話した(13日、東京都三鷹市で)=泉祥平撮影

抽選で公開されたチリ代表選手団の事前合宿で、車いすの卓球選手の対戦を見学する人たち(13日、東京都三鷹市で)=泉祥平撮影

チリ代表選手団の事前合宿で、対戦する車いすの卓球選手。新型コロナウイルスの感染防止対策で、声援の代わりに拍手が鳴り響いた(13日、東京都三鷹市で)=泉祥平撮影

聴覚障害者の三浦寿さん(41)=右=は、五輪に続き、都市ボランティアとして選手村でジムの受け付けや選手の誘導をする。日本財団ボランティアサポートセンターで研修を受けた清田千智さん(30)は共に働く三浦さんを手話通訳でサポートする(7日、東京都中央区で)=泉祥平撮影

競泳の木村敬一選手にターンやゴールを「タッピング棒」で合図する寺西真人さん(62)=左=。視覚障害の木村選手にとってわずかなタッチの差が勝敗を分けるため、ロスがないギリギリのタイミングで合図を送る(1日、長野市のアクアウイングで)=泉祥平撮影

【撮影】読売新聞写真部・泉祥平、菅野靖、川崎公太
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