空の番人

F-4戦闘機 任務完了へ

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制作・著作 読売新聞

 「ファントム」の愛称で知られる航空自衛隊のF-4戦闘機。今月中旬、実戦部隊から退くまでの半世紀、日本の防空の要を担った。
写真 竹田津敦史
文 園田将嗣
(2020年12月21日公開)

F-2B戦闘機と編隊を組むF-4EJ戦闘機の「17-8301」号機。1971年にマクドネルダグラス社で製造され、まもなく「50歳」になる

フィンガーチップ隊形で飛行する岐阜基地・飛行開発実験団のF-4EJとF-4EJ改(手前の機体)

エシュロン隊形で飛行するF-4EJとF-4EJ改(手前から2機目)。「17-8301」は退役を前に70年代の運用当初の色に塗装された

 その導入初号機が、岐阜基地(岐阜県各務原市)にある。航空機の開発や運用試験を行う飛行開発実験団で、テストや訓練のため今も現役で飛ぶ。
 F4は、翼端が緩い角度で上向きになっている。だからだろう。「旋回する姿は羽を広げた鳥のよう。本当に優美なんです」と、実験団の飛行隊長を務める2佐の高橋豊和さん(46)は言った。

エシュロン隊形で飛行し、ピールオフリジョインを行うF-4EJとF-4EJ改(左から2番目)

手前のF-4EJ改「07-8431」は近代化改修された初号機で、レーダーなど電子機器をより高性能なものに載せ替えた。後方の2機は未改修のF-4EJで飛行性能に大きな違いは無い

フィンガーチップ隊形で飛行するF-4EJとF-4EJ改

手前の編隊のF-4EJ「17-8301」(左)は航空自衛隊への導入初号機で、F-4EJ改「07-8431」(左から2機目)は近代化改修の初号機だ

F-4EJ「17-8301」は岐阜基地の飛行開発実験団で長期間運用されたため、テスト機として様々な改修が行われた

エシュロン隊形で飛行するF-4EJとF-4EJ改(左から2機目)

訓練中の岐阜基地・飛行開発実験団所属のF-4EJ改のパイロット

訓練中の岐阜基地・飛行開発実験団所属のF-4EJ改のパイロット

 F4には2人が乗り込む。主に前席の隊員が機体を操り、後席はレーダーを扱う。「うまく飛ばせるかどうかは、チームワーク次第。同僚との連携や気配りをF4で学びました。操縦だけでなく、人生の全てに役立っています」。高橋さんにとって、F4は「師」だ。
 1971年製の初号機には「301」の機体番号が付く。翌72年、百里基地(茨城県小美玉市)に配備された。この機体に特別な思いを持つ人がいる。空将の尾崎義典さん(55)だ。

百里基地所属のF-4EJ改に搭乗した尾崎さん

F-4EJ「17-8301」号機。現在は岐阜基地所属の機体だが、1972年当時、百里基地のF-4臨時飛行隊に配属されていた

F-4EJ/EJ改の編隊と合流するF-15J「02-8801」(手前)。「02-8801」号機は1980年に製造され、F-15では航空自衛隊へ初めて導入された機体だ

F-4EJ(手前2機)と編隊を組むF-2A

F-15J(手前)、F-2A(奥)と編隊を組むF-4EJ/EJ改

C-1輸送機を先頭に編隊を組む飛行開発実験団の所属機

C-1輸送機を先頭に編隊を組む飛行開発実験団の所属機

C-1輸送機を先頭に編隊を組む飛行開発実験団の所属機

 尾崎さんの父・義弘さんは百里のF4部隊の初代隊長だった。73年5月、鹿島灘を訓練飛行中に起きた空中爆発事故で殉職した。尾崎さんは父を追うように空自に入り、そして、F4のパイロットとなった

飛行訓練を終えて駐機場へ戻った百里基地・第301飛行隊のF-4EJ改

百里基地の格納庫に駐機された第301飛行隊のF-4EJ改

百里基地の格納庫に駐機されたF-4EJ改「37-8315」号機

 5年ほどで地上勤務に変わったが、その後も技量を維持するため、F4に搭乗。301号機にも乗った。
 製造から何十年も過ぎ、操縦かんや計器の多くは交換されているはずだった。でも、義弘さんも触れたと思うと、「心が穏やかになるような、温かくなるような。そんな感情になった」。
 F4を最後まで運用した百里の第301飛行隊は今月中旬、三沢基地(青森県三沢市)へと移り、F35Aの部隊に変わった。岐阜に残る数機も、年が明けると順次、役目を終え、日本の空から姿を消す。

百里基地の上空を飛行するF-4EJ改の「37-8315」号機。退役を前に記念の塗装が行われた

4機編隊で飛行する岐阜基地・飛行開発実験団のF-4EJ改(中央上)とF-4EJ

航空自衛隊への導入初号機のF-4EJ(右)と近代化改修されたF-4EJ改

4機編隊で飛行する岐阜基地・飛行開発実験団のF-4EJ改(手前)とF-4EJ

編隊を組み、上昇する岐阜基地・飛行開発実験団F-4EJとF-4EJ改

【撮影】読売新聞写真部・竹田津敦史
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