海底耕し貝毒封じ…大阪湾、有害プランクトン抑制

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大阪湾で海底耕運に使われた桁。海底を引きずって泥をかき混ぜる(大阪府提供)
大阪湾で海底耕運に使われた桁。海底を引きずって泥をかき混ぜる(大阪府提供)

 大阪湾で近年猛威をふるっている貝毒の対策として、大阪府漁連は今月、海底を耕す「海底耕運」と呼ばれる方法を試みる。漁獲量を増やす目的で秋に実施しているが、貝毒を抑え込む効果があるかは未知数。東京の市場でも評価が高い大阪湾の海の幸を守る新たな一手として、関係者の期待は高い。

 貝毒は、毒性のある植物性プランクトンをアサリ、マガキ、アカガイ、トリガイなどの二枚貝が摂取し、体内に蓄積して発生。大量に食べると手足などがしびれ、呼吸困難で死亡することもある。

 大阪湾では昨年、例年より1か月早い2月中旬に、アサリの毒が国の規制値を超え、4月には大阪府阪南市で規制値の最大42倍の毒素が確認された。例年終息する5月中になっても被害が続き、8~9月にようやく安全が確認された。

 貝毒の発生は、瀬戸内海への排水規制で浄化が進み、低栄養でも育つ有害プランクトンが増えているのが原因とみられている。昨年は兵庫県西部で35年ぶり、岡山県東部で32年ぶりに貝毒が発生した。

 大阪湾の貝類の水揚げは例年約60トンに上るが、貝毒が発生している間、アカガイやトリガイなど二枚貝の水揚げはほぼゼロに。特にアカガイは大きく身が詰まっていると料理店などの評判も高いが、漁連の担当者は「ブランドイメージに傷がつく」と懸念する。潮干狩りシーズンに、客がアサリを持ち帰れない事態も起きている。

 海底耕運は、漁船で「けた」と呼ばれるくわのような形をした器具を引っ張って、海底に堆積した泥をかき混ぜる。泥に酸素を送り込むとともに、窒素やリンなどの栄養塩を海中に巻き上げて循環させることで、海底付近に住む魚種などを増やす効果があるとされる。

 海底のごみ集めにもなり、大阪湾では、2011年から毎年秋に実施されている。漁獲に大きな成果は出ていないが、有毒な硫化水素の濃度が低下したり、魚の餌となるゴカイが増える兆候がみられたりしているという。

 海底耕運の貝毒対策への応用は、府立環境農林水産総合研究所水産技術センターと府漁連が共同で発案した。海底耕運で、海底に沈んでいる無害のプランクトンの種を巻き上げ、日光に当てて発芽を促せば、毒性のあるプランクトンの割合を減らせるという発想だ。窒素やリンなどの栄養塩を巻き上げて、低栄養に強い有害プランクトンと競合する環境にする狙いもある。

 原因プランクトンは、海水温が上昇に転じる1~2月頃に増え始めることから、府漁連は2月19、20日、岸和田市沖に漁船計約30隻を出して実施する。

 府漁連は「出荷制限の長期化で漁師は大きな打撃を受けている。貝毒が広がる前に先手を打ち、大阪の海の幸を守りたい」という。

 府によると、広島県福山市のともの浦では16年7月、2日間にわたり海底耕運をした結果、赤潮の原因となる植物性プランクトンが減ったという報告があるという。センターの山本圭吾主幹研究員は「貝毒への効果は未知数だが、最適な環境づくりにどんな方法が有効か、探りたい」としている。

437946 1 テクノロジー 2019/02/09 22:48:00 2019/02/09 22:48:00 2019/02/09 22:48:00 海底を耕すのに使う桁(大阪府提供) https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190209-OYT1I50055-T.jpg?type=thumbnail

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